八幡神の謎
・刊行:2003/11
・著者:大里長城
・出版:まんぼう社

・『八幡神の謎』をアマゾンで購入

八幡の名の由緒、祭神の縁起、「託宣」がなぜ重んじられるのか、大帯姫のみなぜ「廟」が付くのか…。日本の神社11万社のうち4万600余社を占める八幡神社の謎を総本宮宇佐神宮を舞台に解き明かす。

管理人了
どこにも明記されていないので、正統的に八幡神の謎を思ったものかと思ったが、九州王朝論者。それはそれでよいと思う。記紀神話を再編し、九州倭国との兼ね合いから論じている。論の組み立てや大筋の結論を冒頭に持ってきて、道筋が明確に見えるのはよい。

宇佐神宮が新羅あるいは半島やその神とのかかわりが強いことが分かっているが、荒ぶる神の性質との兼ね合いから考えて、スサノヲと関係はないかと考えていたところ、本書では少し触れている。が、それが本筋ではない。アマテラス神功皇后)、スサノヲ(仲哀天皇)という構図による、スサノヲ暗殺説。

また、宇佐神宮が6世紀に成立したとは信じがたく、古事記にある宇沙都比古・宇沙都比売(ウサツヒコ・ウサツヒメ、菟狭津彦・菟狭津媛)と必ず何らかのかかわりがある、と考えていたが、それにも触れている。

九州王朝論には賛成しないが、色々と視点の整理が出てきてためになった。