伏見稲荷の暗号 秦氏の謎
・刊行:2012/11/27
・著者:関裕二
・出版:講談社

・『伏見稲荷の暗号 秦氏の謎』をアマゾンで購入

伏見稲荷大社と秦氏は、「古代史最後の謎」ではなかろうか。

稲荷信仰最大の謎は、社数が多いことだ。日本各地で祀られ、八幡神と並び、祠の数で他を圧倒している。

その一方で、「なぜ狛犬ではなくキツネが結界を守るのか」その理由が、はっきりとしない。

伏見稲荷を祀りはじめたのは秦氏だが、秦氏も謎めく。

秦氏は朝鮮半島南部から日本列島にやってきた渡来人だ。山背地方(京都府南部)に根を張り、殖産に務め、ヤマト朝廷を豊かにした人々である。

秦氏はアメーバのような存在で、血のつながりで固まっていたのではなく、大規模な職能集団と考えた方がわかりやすい。飛鳥時代に秦河勝が聖徳太子に寵愛されたという話は有名だが、秦河勝以外で、歴史に名を残した人物がいなかったのは、そのためだ。

もちろん、だからといって、秦氏が日本の歴史に影響力を持たなかったのかといえば、そんなことはない。「日本の基層文化を築きあげたのは秦氏だった」といっても過言ではない。 なぜ、古代で最大の勢力を誇り、日本の基礎を築いた秦氏が、差別される民になっていくのか。なぜ稲荷信仰は、日本各地に伝播していったのか。

古代史最後の謎を、解き明かす。

【管理人了】
もう少し伏見稲荷大社についての様々なことを深く探るのかと思ったが、秦氏と大化の改新の方の話が主体。

稲荷が日本最大のネットワークを持っていることについても、そうした本論と関係ないようなところでの、取ってつけたような結論のみで、ちょっとがっかり。

蘇我入鹿聖者説、秦河勝による暗殺説は、筆者の従来の主張だが、それに少し伏見稲荷大社を絡めただけ、というか、極々わずかなエッセンス程度。