勅使参向の例祭 16の神社の紹介と、ご利益、それぞれの勅祭の日付まとめ
勅祭社(ちょくさいしゃ)とは、祭礼に際して天皇により勅使が遣わされる(これを勅祭という)神社。ただし、伊勢の神宮は毎年五大祭(月次祭を除く)に勅使が遣わされるが、別格とされ特に勅祭社と呼ばれてはいない。

延喜式に見られるように古来より諸大社は全国にあったが、平安後期になると律令制の衰退とともに遠隔の諸大社への奉幣は避けられ、逆にそのために京に近い神社が有力氏族や民衆の崇敬を集めて固定化され、二十二社が制度として成立した。しかしこれも室町後期に朝廷の奉幣が中断した。

1868年(明治元年)、明治天皇は氷川神社の祭事を勅祭として行った。これが近代の勅祭社の始まり。明治3年には東京とその附近の12社を准勅祭社と定めた。

1883年(明治16年)、賀茂神社(賀茂御祖神社、賀茂別雷神社)の賀茂祭(葵祭)、石清水八幡宮の石清水祭が勅祭と定められて今日につながる勅祭社となった。

終戦により廃社となった朝鮮神宮を除く15社(16の神社)の一覧と、その詳細ページへのリンク、ご利益、そしてそれぞれの勅祭の日付をまとめた。

賀茂別雷神社 (京都市北区)

賀茂別雷神社 - 古事記に登場しない賀茂別雷大神、それでも古事記とゆかり深い賀茂氏
[ご利益]厄除け、方除け
[勅 祭]5月15日が賀茂神社例祭「葵祭

賀茂御祖神社 (京都市左京区)

賀茂御祖神社 - 賀茂氏の氏の母とその父、古事記では神武天皇の母であるタマヨリ
[ご利益]産業振興、病難解除、試験必勝
[勅 祭]5月15日が賀茂神社例祭「葵祭

石清水八幡宮 (京都府八幡市)

石清水八幡宮 - 宮中の四方拝で遥拝される一社で、勅祭社 三大八幡宮の一社
[ご利益]厄除け、「八幡御神矢」
[勅 祭]9月15日が例祭「石清水祭

春日大社 (奈良県奈良市)

春日大社 - 鹿島神宮から勧請された、春日神社の総本社 平城遷都ごろからの古社
[ご利益]渉外、平和、愛
[勅 祭]3月13日が例祭「春日祭

熱田神宮 (名古屋市熱田区)

熱田神宮 - 三種の神器の一つ草薙の剣を祀る神社、極めて重要なはずなのに三宮
[ご利益]草薙の剣、厄除、災難除、心願成就
[勅 祭]6月5日が例祭「熱田まつり

出雲大社 (島根県出雲市)

出雲大社 - オオクニヌシが鎮座する1000年以上前からの「天下無双之大廈、国中第一之霊神」
[ご利益]男女仲を含む相互発展の縁結び
[勅 祭]5月14日が大祭礼

氷川神社 (さいたま市大宮区)

氷川神社 - 大宮に鎮座する総本社、武蔵国一宮or三宮? 四方拝で遥拝される一社
[ご利益]東国開拓の神、マルチ
[勅 祭]8月1日が例祭

鹿島神宮 (茨城県鹿嶋市)

鹿島神宮 - 春日大社への勧請も行う、タケミカヅチを祀る総本社は鹿ゆかりの元祖
[ご利益]家内安全、縁結び、勝運
[勅 祭]9月1日が例祭、勅使は6年に一度

香取神宮 (千葉県香取市)

香取神宮 - 古事記には登場しないフツヌシが御祭神、鹿島神宮とともに東国拠点
[ご利益]家内安全、交通安全、心願成就
[勅 祭]4月14日が例祭、勅使は6年に一度

橿原神宮 (奈良県橿原市)

橿原神宮 - 明治期、畝傍橿原宮跡に創建された初代神武天皇をお祀りする勅祭社
[ご利益]安産祈願、厄除け、交通安全
[勅 祭]2月11日の紀元祭

近江神宮 (滋賀県大津市)

近江神宮 - 皇紀2600年創祀の時の祖神、文化・学芸・産業の守護神・天智天皇を祀る
[ご利益]時の祖神 開運・導きの大神
[勅 祭]4月20日(大津宮遷都)が例祭

平安神宮 (京都市左京区)

平安神宮 - 明治期、平安京遷都当時の大内裏を復元、平安京最初と最後の天皇を祀る
[ご利益]家内安全、商売繁盛、会社隆昌
[勅 祭]4月15日が例祭

明治神宮 (東京都渋谷区)

明治神宮 - 初詣では日本一の参拝者を集める、明治天皇・皇后をお祀りする勅祭社
[ご利益]家内安全、身体安全、厄祓い
[勅 祭]11月3日(明治天皇の御生誕日)が例祭

靖国神社 (東京都千代田区)

靖国神社 - 日本の伝統を受け継ぐ英霊を祀る、平和を象徴する地域や国の守り神
[ご利益]地域社会や国家の守り神
[勅 祭]4月21日春季と10月17日秋季の例大祭

宇佐神宮 (大分県宇佐市)

宇佐神宮 - 神託事件でも知られる八幡宮の総本社、邪馬台国の所在地の候補の一つ
[ご利益]家内安全、交通安全、厄除け
[勅 祭]臨時奉幣祭(10年に一度の勅使派遣)

香椎宮 (福岡市東区)

香椎宮 - 八幡神の親神様、「廟」として特別な崇敬を受け続けた本朝四所の一社
[ご利益]八幡神の親神様、家内安全
[勅 祭]臨時奉幣祭(10年に一度の吉日)

※三勅祭は、賀茂神社(賀茂別雷神社、賀茂御祖神社)例祭「葵祭」、石清水八幡宮例祭「石清水祭」、春日大社例祭「春日祭」。
※宇佐神宮と香椎宮の、10年に一度の臨時奉幣祭は次回、平成37年(2026年)の予定。
※鹿島神宮と香取神宮の、6年に一度の勅使参向は次回、平成32年(2021年)の予定。

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