邪馬台国女王卑弥呼がもらったとも言われ、製作地を巡り論争が続く謎の鏡・三角縁神獣鏡。これと同じ型式の鏡が中国河南省の洛陽市で見つかったとする論文が、地元の研究誌に掲載されたと言います。朝日新聞が報じています

専門家の意見としても、実物を見た中国側学者、写真で確認している日本側学者が基本的にはそろって偽物・贋作ではないと答えている模様。

本当であれば大発見となります。今までの定説「三角縁神獣鏡は中国で出土していない」が揺らぐことになるからです。

ただ、今回の材料だけで、邪馬台国の比定地が確認されるものでもなく、三角縁神獣鏡が卑弥呼の鏡と断定されることでもなく、魏鏡説・特鋳説・国産説に決着がつく、というものでもなさそうです。

上記の報道にある通り、発見のされ方がちょっと怪しい。どこかの墳墓などから、複数、できれば大量に出土した、ということならともかく、偽物や贋作ではないとしても、この一面だけがぽつんと発見されるという経緯は怪しむに足ります。

どちらにしろ、日本では500面以上出土している三角縁神獣鏡、これまで中国本土で1面も出てこなかった、そしてようやく一面出た、かもしれない、という段階ですので、今後の推移を注意深く見守りたいと思います。

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