うどんの起源? 尤渓県の朱子面1 - 百度図片
うどんで有名な香川県では、そのうどんが奈良時代に弘法大師が中国から持ち帰ったのが起源だと伝えられてきました。長い間、中国のどの町から伝わったのか分かっていませんでしたが、中国の民間うどん研究家が故郷の福建省尤渓県であると主張しているようです。ライブドアニュースが人民網の報道を翻訳編集して報じています。写真は尤渓県の朱子面(出典:百度図片)。

本サイトとはそんなには関わりがないかもしれませんが、少し気になったので調べてみました。

このニュースで伝えられている、「朱子寿面」というのは発見できませんでしたが、「朱子面」ということであれば、先の写真と、下記が出てきます。尤渓県の特産であることは間違いないようです。
うどんの起源? 尤渓県の朱子面2 - 百度図片
うどんが弘法大師由来というのは伝承のようで、説として最も古いのは、鎌倉時代、仁治2年(1241年)に中国から帰国した円爾(聖一国師)が製粉の技術を持ち帰り、「饂飩・蕎麦・饅頭」などの粉物食文化を広めた、というもの。

円爾は、宋に渡航して無準師範の法を嗣いでいます。無準師範は四川省出身で、当時の名僧の一人ですが、中国五山の第一たる径山万寿寺の第34世に住し、円爾含め、中国の名僧や日本の留学僧を指導した、とのことです。

径山万寿寺があるのは、現在の浙江省杭州市。福建省とは同じく中国東部で、省同士としては隣接しているとは言え、距離はかなりあります。円爾が実際に福建省に行ったかどうかは不明です。浙江省にも同じような麺はあったかもしれません。

どちらにしろ、麵を加熱して付け汁で食する、うどんのような食べ方は中国にはなかったようなので、日本で独自の発展を遂げたものであることは間違いないようです。

「また、中国が起源を言い出した」とも言えるかもしれませんが、素直に、起源を探るのは一つのロマン、とは思いますし、非常に素晴らしいことだとは思います。うどんの起源が分かれば、香川県のみならず、日本にとっても良いことです。

ただ、うどんは中国で大人気の日本食と聞いたことがあります。そうする時になるのが、「お金」。これが絡むとややこしいのは万国共通。今回のニュースでも、「地元当局が関心を寄せている」とありますが、これはもちろん町おこし=お金を想定しているでしょう。

中国の場合、というか日本以外の場合、こうしたことに敏感であり、起源説をもとにした権利(商標・特許、文化遺産など)の主張合戦(中国と韓国の間が有名ですが)になってしまうかもしれず、警戒が必要になる可能性はあります。

日本人であれば、「ああ、うどんの発祥の地であれば、日本の香川県と友好関係など結んで仲よくすればいいな」ぐらいに思うことでも、日本以外では違うんだ、ということ、と、うどんが中国を起源とするものでも、日本で独自の発展を遂げた日本が誇る、日本の立派な食文化の一つ、ということを確認しつつ。