木幡の幡祭り(こはたのはたまつり)
種別1:風俗慣習
種別2:人生・儀礼
公開日:毎年12月第1日曜日
指定日:2004.02.06(平成16.02.06)
都道府県:福島県
所在地:旧安達郡東和町、現二本松市の木幡

木幡の幡祭りは、福島県の旧安達郡東和町、現二本松市の木幡で12月第一日曜日に行われる行事である。

木幡山に鎮座する隠津島神社の氏子である木幡の9地区から、木幡山に祀られる隠津島神社を経て羽山神社まで色とりどりの布を縫い合わせた大幡を担いで行列する華やかな登拝行事であり、ゴンダチと呼ばれる18歳前後の初めて行事に参加する男子の成人儀礼を伴う行事である。

この行事は、昭和41年までは旧暦11月18日に行われ、参加する男子は3日ほど前から地区ごとの堂社と呼ばれる籠もり堂に籠もって身を清めてから祭りに臨んだが、昭和42年からは12月第一日曜日に行われるようになり、お籠もりも前日1日だけという所が多くなっている。

ゴンダチ一行は羽山神社の手前にある岩場に着くと、大きな割れ目をくぐり抜ける。これを「胎内くぐり」という。これは袈裟と太刀をはずしたゴンダチがお賽銭とも呼ばれる小銭をくわえて大岩の割れ目をくぐり抜ける。

ゴンダチは全員が胎内くぐりを終わると大岩の前に並び、大岩の上に立った年長者と大岩の下に立った者とが問答をし、胎内くぐりをして生まれかわったゴンダチに命名する儀礼をする。これを「ゴンダチ呼び」とか「ゴンダチ呼ばり」とも言う。

この後ゴンダチ一行は羽山神社に上がり、手前の小屋で「食い初め」とか「乳を御馳走になる」と言って、小豆を入れて作った「乳」とも呼ばれる粥を食べる。これがすむとゴンダチ一行は持参した梵天と丸餅を羽山神社に供え、別の道を登ってきた幡の一行と共に神社の前に勢揃いしてお参りする。

この行事は、初めて参加するゴンダチが胎内くぐり、命名の儀礼、食い初めなど生まれかわりの儀礼を行うことや、羽山神社では3回目に初めて正面を向いて拝むことが許されるなど、一種の成人式の役割を果たしていることをよく示しており重要である。

木幡地区の男子は、ゴンダチとしてこの行事に参加しないと一人前とは認められず、大人の仲間入りができなかったという伝承もそれを裏づけている。

保護団体名:木幡幡祭保存会
重要無形民俗文化財「木幡の幡祭り」 - 一種の成人式の役割を果たす行事、福島
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