日本印章史の研究
・刊行:2004/7
・著者:久米雅雄
・出版:雄山閣

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本書は全体10章からなる学位論文である。前編5章は「中国の印章と初期ヤマト王権の形成」について、また後編5章は「日本の印章と国家主権の変遷」について論じており、内容的には「中国の印章」と「日本の印章」の双方を考古学的・歴史学的に扱っている。

久米雅雄(KUME MASAO、1948年2月7日-)は日本の考古学者・歴史研究者。アジア印章学、東洋文字学、美術工芸、貨幣学、キリシタン考古学などの分野で研究業績を重ねる。

「金印奴国説への反論」(1983年)による「委奴=伊都」国説の再提示や「新邪馬台国論」(1986年)による「筑紫女王国・畿内邪馬台国二王朝並立論」の展開などでも知られる。

「筑紫女王国・畿内邪馬台国二王朝並立論」では、同時期に九州と畿内に女王国と邪馬台国が存在したと指摘、魏志倭人伝の難関とされる道程問題の解決を試みるものとして注目されるが、批判も少なくない。

邪馬台国を畿内に設定した、という意味では、邪馬台国畿内説の一種と言えるが、卑弥呼という女王の国を探すのが邪馬台国論争ということであれば、九州説とも言える。

こうした並立論は、大和岩雄によって継承されていく。

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