日本と朝鮮 (古代を考える)
・刊行:2004/12
・著者:武田幸男
・出版:吉川弘文館

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古来、朝鮮半島は人とモノ、技術・思想や文化を日本列島に伝え、古代国家の形成に大きな役割を果した。『魏志』東夷伝と邪馬台国、『日本書紀』と任那支配、高句麗広開土王碑文と倭の五王、新羅・渤海との文化交流など、文献学や発展めざましい朝鮮考古学の最新成果を駆使してその実態を描き、東アジアを舞台に繰り広げられた古代史の真実に鋭く迫る。

武田 幸男(たけだ ゆきお、1934年8月18日 - )は山形県出身の歴史学者。東京大学名誉教授。文学博士。東方学会評議員・東洋文庫研究員・朝鮮学会幹事・史学会会員。専門は朝鮮史、東アジア交渉史。

専攻は朝鮮史(おもに朝鮮古代、高句麗史、古代日朝関係史)。末松保和の研究を継承。広開土王碑の研究で知られ、数多くの拓本を収集。その分析から1970年代に李進熙らの提唱した広開土王碑についての仮説(好太王碑改竄説)や解釈がすべて成り立たないことを論証した。

また、中国正史に見られる「倭の五王」遣使記事を検討し、当時の倭国の大王が中国王朝に対して「倭」という姓を名乗っていたことを指摘し、古田武彦らの九州王朝説を批判した。

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本書に関して、邪馬台国論を展開しているのは田中俊明。邪馬台国論ではあまり著名な方ではないが、もともとは朝鮮史が専門。

『入門セミナー 原文、読み下し文、現代語訳、注釈・解説 『魏志』倭人伝を読む--わずか二千余字、唯一の文字史料に書かれていることは? ([歴史読本]2011年4月号特集 ここまでわかった! 邪馬台国)』『『魏志』倭人伝を「東夷伝」全体から読み解く (特集 古代日朝関係史 論点検証最前線) -- (古代日朝関係をめぐる争点&論点 日本の視座から)[歴史読本] 2006年2月号』などの論文で、畿内説を展開している。

短里はありえない、海路においては距離感が狂うもの。というのはよいと思うが、「倭の三十国を九州島すべてに納めるのは無理がある」としているものの、無理だから無理、九州説は成り立たない、という訳の分からない論法になっている。倭人伝には、東、海を渡ること1000里、また倭種の国がある、との記述を完全に無視している。

ほかの書籍でも、確か田中だったと思うが、「邪馬台国の位置に関しては諸説あるが、まあ、畿内でいいでしょう」ぐらいに流していたものがあった。専門外だからこそ、かもしれないが、であればなおさら、邪馬台国に言及しない方がよいのではないか、と思うような態度としか言えない。