古代史は身近にあり―比較言語学で解く「邪馬台国」
・刊行:2009/11
・著者:川崎真治
・出版:東洋書店

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地名や姓名、線刻石や土器に彫られた文字を手掛かりに、比較言語学を駆使して、日本古代史の謎に迫る。

「邪馬台国」の所在地論争にも挑戦し重大な一石を投ずる。

故大野晋氏の「日本語=タミル語(ドラヴィダ語)起源説」を裏づける画期的な見解も示す。

第1章 古代史は身近にあり
第2章 ラッキー・セブン
第3章 種子ヶ島の宝満神社
第4章 ライオン・トーテム族
第5章 邪馬(獅子)の国々
第6章 源平藤橘は日神トーテム族
第7章 奈良の大市墓(箸墓)の埴輪
第8章 三内丸山遺跡にも文字が
第9章 朝臣と帶は共に司祭者

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管理人了
題名に踊らされたか、厳密に言えば、邪馬台国論ではない。

確かに、福岡県山門郡は違う、と、いわゆる比較言語学で指摘してはいるものの、結論的には「大胆な推測をすれば、ハシ墓の被葬者は、あるいは、邪馬台国の女王・卑弥呼ではないか…」と。(ハシ墓は箸墓=箸墓古墳(奈良県・桜井市)の誤変換ではなく、本文ママ。そこにも深い意味があるらしい)

その意味では邪馬台国畿内説、ということ? ぐらいに、あまり邪馬台国問題には触れていない。もちろん、「箸墓が卑弥呼の墓」というのは「大胆な推測」でもなんでもないが。おそらく分かって書いている、と思われるところが、ちょっと。だし、そんなスタンスで書かれた本。

「オレにしか読めない文字が、日本中にゴロゴロあるぜ」「それを解読してやるよ」「こう読めるぜ」「日本の史学者や考古学者じゃわからないぜ、古代アジア語知らないからな」というものの羅列がベース。

好きな人にとっては面白く読める可能性もあるが、楔形文字が日本中に溢れているのであれば、それがどのように伝わり、古代人はどうしてその楔形文字を使っていたのか、使い続けたのか、いつからそれを知らなくなったのか、それは今どうなっているのか、などの説明がなく、文字に見えるかもしれないものを強引に文字として解読して悦に浸っている感が強い。