熊襲は列島を席巻していた: 九州倭政権と「蛮族」の実像
・刊行:2013/9/30
・著者:内倉武久
・出版:ミネルヴァ書房

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中央政府に反抗した南九州の蛮族と歴史上位置づけられてきた「熊襲(熊曽於)」。

彼らは焼畑耕作の拡大や鉄資源を求め北部九州に進出し、権力を掌握して古墳文化や生活風習、芸能などを日本各地に残した雄渾な一族だった…

民俗学的成果や考古学的遺物・遺構調査などから探究を重ねてそのルーツと実像に迫り、新たな古代国家像を描き出す。

管理人了
タイトルだけ見れば、その可能性もあるな、と思って楽しみにしていた一書。読んでみると、若干感情的な反中央の書だた。

定説を疑うのは悪くはないと思うが、すべてをバッサリしてしまえば、結局何でも自説の言う通りになってしまう。

前方後円墳は九州発祥、というのは、論的には悪くはないが、それが紀元前に発生した、となると、今までの考古学を完全否定? そうなると、もう言い出したもの勝ち。あまり説得力のない論になってしまっているような感じを受ける。

南九州の文化文明の起源を中国南部に持ってくるのはよいが、深読みされれば(自身が元朝日記者であることにもっと自覚を持った方がよい)、結局日本は中国南部の、中国の人々によって樹立された国、と思われてしまう。

そうではなくて、中国、あるいは東南アジアから渡ってきたかもしれないが、現在がすでに全く別物になってしまっているという現実に目を向け、彼らが沖縄を経由し、九州南部に土着していき、その過程で、様々な新たな"革新的な”文化を育んできた、という風になぜならないのか。

そうすると、沖縄の女性祭祀者という伝統が受け継がれて、南九州から発祥した、北部九州に君臨する卑弥呼の誕生につながった、などと見ることもできるのに。