熱田神宮 - Wikipedia
熱田神宮(愛知県・名古屋市熱田区)にある宝物館(ほうもつかん)で、出雲大社(島根県・出雲市)の宝物を展示する特別展「神剣のふるさと 出雲の名宝」が開かれています。2015年1月27日まで。朝日新聞が報じています。熱田神宮に参拝の折にはぜひ立ち寄りたいところです。写真は、熱田神宮の境内(出典:Wikipedia)。

展示しているのは出雲大社から借り受けた宝物など計約60点。出雲大社で出土した弥生時代の銅戈・勾玉や、蒔絵や螺鈿を施した鎌倉時代の手箱「秋野鹿蒔絵手箱」など、国の重要文化財や国宝に指定されたものも多くあるようです。またオオクニヌシに心酔したアメノホヒの末裔で、出雲大社の祭祀者である千家家所蔵の貴重な文化財も展示されているようです。

熱田神宮の御神体は草薙の剣。天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)としても有名ですが、この名称は日本書紀の注記にあるのみ。古事記では「草那芸之大刀」「草那芸剣」などと表記されています。いわゆる三種の神器の一つ。

出雲に降臨したスサノヲが、当地を荒らしていたヤマタノオロチを退治した際、その尾から出現したとされる神剣。そのため、草薙の剣のふるさとが出雲、ということになります。出雲に来る前に迷惑をかけたからか、その神剣をスサノヲは高天原にいた姉のアマテラスに献上します。

以降、天孫ニニギが降臨する際にも携帯されたと思われ、時は流れて、、第十二代景行天皇の御世には、景行天皇の妹(第十一代垂仁天皇の皇女)で、斎宮の起源とされるヤマトヒメが伊勢の地で保管していたと思われます。

そうして、父である景行天皇の命で、東国遠征に行く時、伊勢の叔母のところに立ち寄ったのが、ヤマトタケル。餞別として、叔母から草薙の剣を託されることになります。それから、草薙の剣はヤマトタケルの愛剣になります。

何だかんだあった東国遠征から尾張まで戻ってきたヤマトタケルは、結婚を約していた当地のミヤズヒメと、姫が生理中にもかかわらず初夜を迎え、結ばれます。翌日、愛剣をミヤズヒメのところに置きっぱなしにして、伊吹山の神退治に向かいます。

ここで神に致命傷を与えられたヤマトタケルは、ミヤズヒメにも、ミヤズヒメのところに置きっぱなしだった草薙の剣にも会えることなく、逝きます。新妻がすぐに未亡人になってしまったミヤズヒメが、草薙の剣を託される形になり、これを奉斎し始める、それが熱田神宮の起こりです。

熱田神宮で出雲の宝物を鑑賞しながら、御神体の草薙の剣のたどった数奇な運命に思いを馳せ、日本神話の中にとっぷり浸るのも、新年の過ごし方としては素晴らしいものがありそうです。

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