雄勝法印神楽(おがつほういんかぐら)
種別1:民俗芸能
種別2:神楽
公開日:旧暦2月18日(船越神社)、旧3月15・16日(五十鈴神社)、旧3月19日(白銀神社)など
指定日:1996.12.20(平成8.12.20)
都道府県:宮城県
所在地:雄勝町

雄勝法印神楽が伝承される雄勝町は、宮城県東北部の複雑な海岸線が太平洋に迫る南三陸沿岸にあたる。

この雄勝法印神楽は、現在、毎年定期的に行われるものとして旧暦2月18日に同町船越の船魂神社をはじめ旧3月15・16日同町熊沢の五十鈴神社、旧3月19日同町桑浜の白銀神社など町内九か所の神社や、三、四年目ごとに行われるものとして旧4月八日同町大浜の石神社、4月29日同町明神の塩釜神社など町内六か所の、合わせて15か所の神社祭礼などで公開されている。

この神楽は、仮設舞台で演じられるが、祭礼によっては舞台は神社境内のほかに、舟魂神社や五十鈴神社祭礼などでは、宮守と呼ばれる民家の庭に、楽屋となる拝殿や民家の一間に隣接して設けられる。

二間(約3.6メートル)あるいは二間半(約4.5メートル)四方で、高さ一メートルほどの板敷きの上に畳を敷いた四方吹き抜けの仮設舞台を角材で組み上げ、天井には二本の木材を対角に渡し、大乗と呼ぶ天蓋をつるす。

四方の柱と天井の木材に笹竹を付け、各柱の間には御幣を下げた藁縄を巡らすなどして舞台飾りとする。また舞台から少し離して高舞台(こぶたい)あるいは龍宮殿と呼ばれる一間(約1.8メートル)四方ほどの小さな舞台を設け、舞台との間に板を渡し、また楽屋と舞台との間にも板を渡して出入り道にする。

神楽は、まず釜に湯を立てての湯立の神事の後に、神楽囃子の打ち鳴らしを行ってから始まる。楽屋と舞台を結ぶ橋の左右に、それぞれ太鼓を据え、間に笛が座り、舞人が登場する。

伝承演目は「初矢」「岩戸開」「所望分」「日本武尊」「産屋」など二八演目で、いずれも仮面をつけての舞で、舞人は面をつけて詞章を唱え、また相手役と対話をする。「岩戸開」などの演目では「ツケ」と呼ばれる翁が、まず登場し説明役となってから本格的な舞になり、「産屋」など鬼神などが登場する舞では、二本に組んだ天井によじのぼり、逆さづりになるなどの激しい所作がある。

雄勝法印神楽は、多くの演目を良好に伝承し、さらに多くの祭礼等で公開され、またかつての祈祷的な神楽の様相を伝えているなど法印神楽の代表的なものとして、地域的特色をもち、また芸能の変遷の過程を示すものとしてとくに重要なものである。

保護団体名:雄勝法印神楽保存会
重要無形民俗文化財「雄勝法印神楽」 - 多くの演目を伝承し、公開されている神楽
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