倭人伝を読みなおす (ちくま新書)
・刊行:森浩一
・著者:2010/8/6
・出版:筑摩書房

・『倭人伝を読みなおす (ちくま新書)』をアマゾンで購入

古代史の一級資料「倭人伝」。邪馬台国や卑弥呼への興味から言及されることの多い文章だが、それだけの関心で読むのは、あまりにもったいない。

正確な読みと想像力で見えてくるのは、対馬、奴国、狗奴国、投馬国…などの活気ある国々。開けた都市、文字の使用、機敏な外交。

さらには、魏や帯方郡などの思惑と情勢。在りし日の倭の姿を生き生きとよみがえらせて、読者を古代のロマンと学問の楽しみに誘う。

森 浩一(もり こういち、1928年7月17日 - 2013年8月6日)は、日本の考古学者。同志社大学名誉教授。専門は日本考古学、日本文化史学。1965年に見瀬丸山古墳欽明天皇陵に比定する説を発表し、現在、この説は有力説となっている。考古学者ど真ん中にあるにもかかわらず、邪馬台国畿内説には否定的であり、九州説を主張することでも知られた。

森は1961年、「日本の古代文化―古墳文化の成立と発展の諸問題」(学生社)を刊行、三角縁神獣鏡が中国で全く出土していない事実を基礎に国産説を唱えた。三角縁神獣鏡国産説の嚆矢。

邪馬台国論争において、邪馬台国の位置を「九州の九州北部」、卑弥呼を「豪族」に比定している。また、邪馬台国東遷説も唱えたとされる。