新潮 2014年 12月号 [雑誌]
・刊行:2014/11/7
・著者:-
・出版:新潮社

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新潮新人賞受賞第一作
高尾長良「影媛」

創作
多和田葉子「マルティン・ルター通り」
いしいしんじ「海と山のピアノ」
谷崎由依「蜥蜴」
宮崎誉子「笑う門には老い来たる」

高尾長良「影媛」は、2014年12月20日に発表された芥川賞候補作品。高尾長良さんは京都大学医学部在学中で平成4年生まれの22歳。今回が2回目の候補で、受賞すれば平成生まれで初の芥川賞受賞者。

「影媛」は「日本書紀」を題材に悲劇の恋物語を描いた作品。即位前の、第二十五代武烈天皇が、婚約しようと試みた物部麁鹿火の娘。

しかし、その時にはすでに影媛は真鳥大臣の子平群鮪(へぐりのしび)と通じていた。海柘榴市(つばいち、現桜井市)の歌垣において鮪との歌合戦に敗れた太子は怒り、大伴金村をして鮪を乃楽山(ならやま、現奈良市)に誅殺させた。

古事記には記載されていない話ではあるが、平群鮪と思われる志毘臣は登場する。しかし、古事記では、志毘臣は後の第二十三代顕宗天皇である袁祁王が見初めた女オウオの手を取り、歌垣で袁祁王と対峙する、という話になっている。

どちらにしろ、古事記時代を題材にした作品。第152回の芥川賞・直木賞の選考会は2015年1月15日に行われ、当日の夜に受賞作が発表される。動向に注目したい。

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