高天原を追われた須佐之男命(すさのおのみこと)が出雲の国 斐の川(斐伊川)にさしかかると、嘆き悲しむ老夫婦と稲田姫に出会う。理由を尋ねると、八岐(やまた)の大蛇が毎年現れ、既に7人の娘が攫(さら)われ、残ったこの稲田姫もやがてその大蛇に攫(さら)われてしまうと言う。

一計を案じた須佐之男命は、種々の木の実で醸した毒酒を飲ませ酔ったところを退治する。そのとき、大蛇の尾から出た剣を『天の村雲の剣(あめむらくもつるぎ)』と名づけ、天照大御神(あまてらすおおみかみ)に捧げ、稲田姫と結ばれる。

ド迫力の大蛇が須佐之男命を相手に火を噴き暴れまくる! ひぇ〜〜っ と、思わず感嘆!!(出典:なつかしの国 石見

【ぶっちゃけ式解説】
石見神楽、と言えば、コレっ。と言うぐらい、ヤマタノオロチの巨大な提灯蛇胴が有名。これが一つだけではなく、複数が舞台の上で踊り狂うから、確かに迫力満点。

おそらくは日本で最も有名な神話。巨大強大な蛇退治と言う分かりやすさもあり。スサノヲ人気を定着させた説話でもあります。だからこそ、なおさらヤマタノオロチの正体は探られねばならないのでしょうね。

古事記ではそこまで壮絶なバトルはなく、スサノヲが見事に酔っ払わせ、泥酔したヤマタノオロチを斬り刻む。むしろ、その巨大な体を斬り刻む方に時間がかかったかのようなイメージ。

その過程で、天の村雲の剣、つまり天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)、いわゆる草薙の剣をゲットする、という流れ。

石見神楽でも、この剣がヤマトタケルに引き継がれ、「日本武尊」の中で登場してきます。古事記の流れをきっちり継承しているところがきめ細かイイ。

ただ、自分の脅威を取り除いてくれたクシナダがスサノヲに惚れた、のではなく、スサノヲがクシナダを嫁にもらうという条件で、ヤマタノオロチ退治を請け負った、という方が正解、ではあります。

【関連記事】
「石見神楽」漫画やイラストで分かりやすく伝える解説パンフ完成、ウェブ上でも楽しめる
石見神楽提灯蛇胴 - スケールがパネェ島根のヤマタノオロチ神楽、現在では主流に