この演目は、大国主命が兄弟の八十神たちと八上姫をめぐって争う様子を描いたものです。

八十神たちが因幡国に住む八上姫に求婚しますが、八上姫は大国主命と結婚したいと言い、これを聞いた八十神たちは恋敵の大国主命を殺害し、八上姫を手に入れようと計画を立てます。大石を焼いて赤イノシシと偽って転がしたり、木の割れ目に挟もうとしたり色々な手段で大国主命の命を狙いますが、ついには返り討ち! 兄弟は退治されてしまいます。

めでたく結婚!大国主命と八上姫。(出典:なつかしの国 石見

【ぶっちゃけ式解説】
何がスゴイって、このお話。本来は因幡の白兎です。もはや国民的神話・童話ともなっているものをすっ飛ばして、ヤソガミにフォーカスしているあたり、古事記フリークにはたまらないかもしれません。

因幡の白兎以外は、おおよそ神話通りですが、「赤イノシシと偽って転がしたり、木の割れ目に挟もうとしたり」でオオクニヌシは二度実際に死にます。その度に蘇生するのですが、ヤソガミの迫害の厳しさに耐えかねて、祖先スサノヲを頼って黄泉の国に行くわけです。

となる前に、ヤガミがオオクニヌシとの結婚を宣言した時点で、二人はすぐ結婚、初夜を迎えていたはずで。というのも、黄泉の国から帰ってみれば、ヤガミはオオクニヌシとの子コノマタノカミを抱いていたのであり。でも、黄泉の国から連れ帰った正妻スセリがオオクニヌシの隣にはいたわけで。

ともかく、ヤソガミ。神話的には興味深いキャラですが、オオクニヌシ以前の小領主でしょうか? 何らかの伝承地も聞いたこともなく、今では跡形もない? 何か伝承が残されているようでしたら、情報お待ちしております。

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