八調子では神2人・鬼2人が対決する、鬼舞の代表的な神楽です。 第十四代天皇・帯中津日子(たらしなかつひこ)が、異国より日本に攻め来る数万騎の軍勢を迎え撃ちます。

その中に身に翼があり黒雲で飛びまわる「塵輪(じんりん)」という悪鬼が、人々を害していると聞き、天皇自ら天の鹿児弓(あめかごゆみ)、天の羽々矢(あめはばや)をもってこれを退治します。

見どころは、白鬼と赤鬼の軽快でスピーディーな舞。誰もが目を奪われます!  迫力満点!!(出典:なつかしの国 石見

【ぶっちゃけ式解説】
キタコレ!! 第十四代仲哀天皇が主役の演目。あるんですね~ 他の伝統芸能でも、あるのでしょうか?

父がかのヤマトタケル、子がかの第十五代応神天皇。そんな方なのですが、知名度はイマイチ、かもしれません。奥さんが神功皇后、と言った方が分かりが速いほど、か。

古事記では登場後、すぐに暗闇の中で急死します。明らかに暗殺です。その場にいたのは神功皇后と、重臣の建内宿禰だけ。。

あまり幸せな人生とは言い難い、しかも、神功皇后の応神天皇懐妊には時間的なつじつま合わせがありそうで、仲哀天皇の子ではないかも、という疑念も。

日本のための御霊として末永く見守っていただくためにも、間違っても怨霊になどならずに、フィクションの舞台の上だけでも大活躍していただき、是非とも憂さを晴らしていただきたいところです。

なお、石見神楽には、子の応神天皇が活躍する「八幡」、父ヤマトタケルが活躍する「日本武尊」があります。子も父も、タイトルに自分の名にちなむものが入っているのに、自分だけは敵役の名がタイトルって。どこまでも幸薄い? と言うか、影薄い?

【関連記事】
八幡神は応神天皇ではない - 九州で顕現したのだから九州と密接に繋がる“天皇”のはず
忌宮神社 - 勝運の神、現在も神事伝える、仲哀天皇が熊襲討伐で滞在した豊浦宮跡
「石見神楽」漫画やイラストで分かりやすく伝える解説パンフ完成、ウェブ上でも楽しめる