月浜のえんずのわり(つきはまのえんずのわり)
種別1:風俗慣習
種別2:年中行事
公開日:毎年1月11-16日
指定日:2006.03.15(平成18.03.15)
都道府県:宮城県
所在地:東松島市宮戸月浜地区

月浜のえんずのわりは、宮城県東松島市宮戸の月浜地区に伝承される小正月の鳥追いの行事で、子どもたちが岩屋でお籠もりをしてから、集団で家々を回り、害鳥を追い払う唱え言をいって、一年の豊作や無病息災を祈願する。

東松島市宮戸は、宮城県の北東部、松島湾の外縁をなす奥松島と呼ばれる島々の一つ、宮戸島に位置する。宮戸島は、松島湾では最大の島であり、えんずのわりが伝承されている月浜地区は、島の南端に位置する40戸ほどの半農半漁の集落である。

えんずのわりは、この地区の子どもたちによって伝承されてきた行事。かつては旧暦で行われていたが、昭和30年代中頃から新暦で行うようになり、現在は1月14日夜を中心に、6日間にわたって行われている。

行事の呼称である「えんずのわり」とは、当地の方言で「意地の悪い」ことを意味するとされ、農作物を荒らす意地の悪い鳥を追い払うのがこの行事であるという。

行事の準備や執行は、子どもたちを中心に行う。行事に参加できるのは、月浜地区に住む7-15歳までの男子で、小学1年生-中学3年生までに当たる。子どもたちの中でも、最上学年で最も早く生まれた男子が一番大将と呼ばれ、以下、年齢順に二番大将、三番大将となり、その年初めて参加する一番下の男子がスッケン大将と呼ばれて雑事を担当する。

一番大将が行事の責任者であり、岩屋でのお籠もりをはじめとする行事全体の指揮をとる。

年頭にあたり農作物を荒らす害鳥駆除を目的として行われる行事は、東北地方や北陸地方などを主として東日本に伝承され、子どもたちを中心に行われてきた。

この行事は、年長の一番大将をはじめとする子どもたちによる伝承組織が年齢階梯的な秩序の基づいてよく守られているとともに、害鳥を追い払う唱え言もきちんと伝えられているなど、鳥追い行事の典型例と考えられるものである。

また、子どもたちが行事の間、岩屋にお籠もりする儀礼が伴うなど地域的特色も豊かである。我が国の年中行事や民間信仰の変遷を考える上で重要である。

保護団体名:えんずのわり保存会
重要無形民俗文化財「月浜のえんずのわり」 - 子供たちの年齢階梯的な秩序、害鳥追い払い
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