ムダマハギ
津軽海峡及び周辺地域における和船製作技術(つがるかいきょうおよびしゅうへんちいきにおけるわせんせいさくぎじゅつ)
種別1:民俗技術
種別2:生産・生業
公開日:-
指定日:2006.03.15(平成18.03.15)
都道府県:青森県
所在地:津軽海峡周辺地域

津軽海峡及び周辺地域における和船製作技術は、津軽海峡を中心に秋田県北部、岩手県北部や北海道にかけての地域で使用されたムダマハギやシマイハギと呼ばれる木造漁船を中心とした和船製作にかかる技術である。

この地域には数は少なくなったものの、現在も各地でムダマハギ型漁船やシマイハギ型漁船などの木造漁船が使用されている。

ムダマハギやシマイハギと呼ばれる漁船は、主にアワビやウニ、タコ漁、昆布やワカメなど海藻類の採取、カレイなどを対象とする刺し網や釣り漁など、この地域で磯廻り漁と呼ばれる漁撈に用いられてきた。たとえば下北半島東部地域では昆布漁にはシマイハギ、磯廻り漁にはムダマハギが使われている。

ムダマハギとは船底にカツラやブナ、ヒバ、スギなどの刳り抜き材を使用し、平底である船底にタナイタをつけアバラと呼ぶ補強材をつけた独特の構造をもつ船で、その造船技術は丸木船から構造船に至る過渡的段階にあたりオモキ造りに連なるものと位置づけられている。

これらムダマハギ、シマイハギと呼ばれる木造漁船の製作は、この地域で船造りに携わってきた船大工たちによって担われてきたものであり、当該地域に特徴的に見られる和船製作の技術である。

津軽海峡周辺に見られるムダマハギ型漁船は、秋田県北部・青森県西部地方ではホッツ、津軽半島西北部地方ではイソブネ、下北半島東部地方ではイソブネのほかカッコと呼ばれるなど名称にも地域的な特徴が見られる。

これら津軽海峡および周辺地域で使用されてきた木造和船も樹脂製の小型船の登場で徐々に姿を消しつつある。

この技術は、丸木舟から構造船にいたる過渡的な位置にある準構造船を製作する技術であり、当該地域で使用されてきた特色ある和船を製作する技術として注目されるとともに、日本の造船技術の変遷を知るうえでも重要なものである。

保護団体名:津軽海峡及び周辺地域における和船製作技術保存会
重要無形民俗文化財「津軽海峡・和船製作技術」 - ムダマハギやシマイハギ型の木造漁船など
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