日葉酢媛命陵「狭木之寺間陵」、つまり第十一代垂仁天皇の後の皇后ヒバスヒメの陵墓の宮内庁の看板 - ぶっちゃけ古事記
奈良県奈良市山陵町
北緯34度69分96.34秒 東経135度78分90.65秒

訪問日:2014年10月17日午後

第十一代垂仁天皇の後の皇后ヒバスヒメの陵です。周濠に回りの木々の緑が映え、美しい古墳です。

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ヒバスヒメは、「日葉酢媛」「日葉酢根命」「日葉洲媛命」(『日本書紀』)とも、「氷羽州比売命」「比婆須比売命」(『古事記』)とも。父は、第九代開化天皇の皇子ヒコイマスの子であるヒコタタスミチノウシ

当時は一大勢力になっていたであろう丹波勢力です。一方で、垂仁天皇の先の皇后のサオビメはヒコイマスの娘。そして後の皇后は孫娘、ということになります。
日葉酢媛命陵「狭木之寺間陵」、つまり第十一代垂仁天皇の後の皇后ヒバスヒメの陵墓、拝所やその奥の陵墓本体を望む - ぶっちゃけ古事記
先の皇后サオビメが、実兄のサオビコとデキて反逆、これを垂仁天皇は攻め滅ぼしますが、その前に、サオビメから次の皇后は誰がいい? と聞いていました。垂仁天皇にとって、義兄にNTRされ、二人そろって反逆され、討伐の最中、どのようなシチュエーションでの会話だったのか。。。ともかく、サオビメの答えが、ヒコタタスミチノウシの美人姉妹で、その中の一人がヒバスヒメでした。
日葉酢媛命陵「狭木之寺間陵」、つまり第十一代垂仁天皇の後の皇后ヒバスヒメの陵墓の拝所 - ぶっちゃけ古事記
しかし実際の嫁取りは、四人同時。その中の、サオビメが指名した以外の二人の姫は、垂仁天皇が「ブサイクはいらん」として、実家に帰してしまいました。祖先のニニギと同じことをしています。そのブサイク呼ばわりされた姫の一人がマトノ。姉妹と容姿を比べられて実家に帰される羽目になって傷心したマトノは、実家に戻る帰途で自殺を図りますが、その時は命をとりとめます。さらに帰って行くと、今度は事故って、亡くなってしまいます。何とも救われない姫。
日葉酢媛命陵「狭木之寺間陵」、つまり第十一代垂仁天皇の後の皇后ヒバスヒメの陵墓の拝所から、その奥の陵墓本体を望む - ぶっちゃけ古事記
ともかく、ヒバスヒメは、垂仁天皇との間に、5人の子宝の恵まれます。長男は石上神宮や剣ともゆかりの深い皇子として、古事記での登場は限られていますが、各地にさまざまな伝承を残すことになるイニシキイリビコ、娘に実質的な初代斎宮として名高く、古事記ではヤマトタケルの叔母として大活躍するヤマトヒメ、そして跡継ぎの第十二代景行天皇らです。
日葉酢媛命陵「狭木之寺間陵」、つまり第十一代垂仁天皇の後の皇后ヒバスヒメの陵墓の拝所から左手の周濠と陵墓本体を望む - ぶっちゃけ古事記
この古墳が治定通り本当にヒバスヒメのものなら、古事記にはありませんが、有名な伝説があります。かの相撲の元祖・野見宿禰、土師氏による埴輪作り、強制殉死の終了と、陵墓に埴輪を供えることが始まったのが、この陵となります。
日葉酢媛命陵「狭木之寺間陵」、つまり第十一代垂仁天皇の後の皇后ヒバスヒメの陵墓の西側から拝所、周濠、陵墓 - ぶっちゃけ古事記
古事記には野見宿禰は登場しませんが、土師氏の創設がヒバスヒメと関連しているような記述があります。ただ、実際にはこの古墳より古いものからも埴輪は出土しており、やはり伝説は伝説なのかもしれません。
日葉酢媛命陵「狭木之寺間陵」、つまり第十一代垂仁天皇の後の皇后ヒバスヒメの陵墓の西側から拝所を望む - ぶっちゃけ古事記
しかし垂仁天皇は実の弟にヤマトヒコがおり、この皇子が亡くなった際、近習が墓の周辺に生き埋めにされたものの、数日間も死なずに昼夜呻き続けた上、その死後には犬や鳥が腐肉を漁った、とされる説話があり、垂仁天皇が実際に殉死を嘆いていた素地はあったわけです。
日葉酢媛命陵「狭木之寺間陵」、つまり第十一代垂仁天皇の後の皇后ヒバスヒメの陵墓の遠景 - ぶっちゃけ古事記
古事記では、皇后よりも垂仁天皇の方が早く亡くなっているような記述になっていますが、実際は皇后の方が先だったようです。最初の結婚には若干失敗気味だった垂仁天皇ですが、ヒバスヒメとは子宝にも恵まれ、有能な子女も多く、幸福だった、垂仁天皇も本当にヒバスヒメを愛した、そのため、垂仁天皇が当時としては画期的と思われる何らかの葬送方式を取り入れた、のかもしれません。自身のヒバスヒメへの愛を表すために。それが埴輪伝説として語り継がれるようになった、と。それが「仁を垂れる」という諡号につながっているわけです。

日本の古墳ランキングでは31位にランキングする佐紀陵山古墳、この日葉酢媛命陵「狭木之寺間陵」は、もしかするとそんな愛の結晶が詰まった垂仁天皇とヒバスヒメの聖地なのかもしれません。陵墓や周りの緑と、周濠の青、そして快晴の真っ青な空を眺めていると、そんな感慨に浸れる古墳でした。
古事記紀行2014 > (12)神功皇后陵 > ヒバスヒメ陵

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