天之八衢(大古事記展) - ぶっちゃけ古事記
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・天之八衢(あまのやちまた)
・大古事記展 - I.古代の人々が紡いだ物語 「創」 ニニギ

・安田靫彦
・昭和14年(1939年)
・福井県立美術館蔵

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天之八衢とは古事記原文にそのまま出てくる、いくつかに分かれた分かれ道のこと。その分かれ道で、サルタヒコと胸を露わにしたアメノウズメが問答している。行く手に現れたこの謎の神に対して、高天原では女なのに、敵対する神に面と向かって睨み勝つとされたアメノウズメを派遣した。

題材は先の肇國創業絵巻 瓊瓊杵尊降臨と同じで、アメノウズメの装束などはほぼ一緒。だが、肇國創業絵巻では遠慮があったのか、アメノウズメは胸元に手をかけていただけで、乳房は露出していなかった。作者の安田氏としては、自身の天孫降臨のイメージとしては、こちらがよりそれに近いものなのではなかろうか。

やはり大古事記展で展示されている河鍋暁斎(1831年-1889年)の『日本神話シリーズ』天孫降臨でも、アメノウズメは胸をはだけさせているが、サルタヒコを色香で誑かすアメノウズメ、というイメージが共通して強く出ているのは興味深い。

アメノウズメの色香説をとると、後に結婚するサルタヒコとアメノウズメであるが、古事記に描かれる不可解なサルタヒコの死も、天孫降臨の道案内がお役御免になったサルタヒコを、アメノウズメが謀殺した、という説にも発展することになる。

肇國創業絵巻と比べると、サルタヒコが極めて色黒になっている。肇國創業絵巻では全体の色調と合わせるようにサルタヒコの肌を調整したのかもしれないが、やはりこれも安田氏のイメージの調整、あるいは国津神ということで、ニニギ一行、さらには高天原との違いを明確に示したかったのかもしれない。

また大古事記展では、安田の作品として、古事記ヤマトタケルの旅と生涯を描いた一連の下絵も展示されている。

ヤマトタケルの「旅」など一連の下絵
小碓皇子(下絵) - 景行天皇に命じられた熊襲建討伐前のヤマトタケルの雄姿?
倭比売命(下絵) - ヤマトタケルの心強い味方ヤマトヒメが草薙の剣を贈呈する
草薙の剣(大下絵) - ヤマトタケル、相模国造の罠に一緒に嵌ったオトタチバナ寄り添う
吾妻はや(中下絵) - ヤマトタケル「ああ、わが妻よ」とオトタチバナを偲ぶ図
酒折宮(大下絵) - 東国遠征の感慨に受っていたヤマトタケルの歌に見事返したのは?
居醒泉(下絵) - 伊吹山で瀕死の重傷を負ったヤマトタケルが意識を取り戻す場所

大古事記展 > I.物語「創」 > 天之八衢

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