宇遅能和紀郎子(うじのわかきいらつこ=和紀郎子)縦480px
【キャラ設定】応神天皇が愛してやまなかったヤカワエの子であり、相当なイケメンだったことも考えられます。貴公子然として、朗らか。しかし、反逆に対しては毅然と対応し、敗死した敵は丁重に葬る。非常に優等生な感じがします。

宇遅能和紀郎子(うじのわかきいらつこ=和紀郎子)縦500px■宇遅能和紀郎子(うじのわかきいらつこ=和紀郎子)

父は第十五代応神天皇。母はその愛妃ヤカワエ。古事記での絡みはないが、同母妹にヤタノメドリがおり、いずれも仁徳天皇に見初められるほどの美女。母ヤカワエの血を受け継いだものと思われる。その意味では、和紀郎子もイケメンだった可能性もありそう。

大いに絡んでくるのが、異母兄の二人。それぞれ母は違うが、一人は大山守命、もう一人は皇后の子である大雀命(後の仁徳天皇)。

最初に登場するのは、応神天皇の皇太子選定の際。ここでは名前だけで、父と母の馴れ初めが描かれた回。応神天皇による子らに対する問答で、大山守命は遠ざけられ、大雀命は重きをなすことになりますが、ここで皇太子に任命されます。

愛妃との子を皇太子に据えたい応神天皇の親バカ的なところが見え隠れしますが、和紀郎子にも後継者にふさわしい器があったのでしょう。

次いで、応神天皇が崩御した時、遠ざけられていた大山守命が反逆します。この情報を和紀郎子にもたらしたのが大雀命。

和紀郎子、応戦の準備をします。大山守命が宇治川まで進軍してきたので、一計を案じ、船頭に化けます。まんまと、大山守命が単身渡河しようと、船頭である自分に話しかけてきました。

「あそこの猪(和紀郎子)を殺したいんだけど?」という大山守命に対して、船頭・和紀郎子は「無理っ」とズバッと否定、「今まで殺せなかったでしょっ」と。

そんなこんなで船が川の真ん中に来た時、和紀郎子は船を揺らして大山守命を川に突き落とします。見事、騙し討ち。溺れる大山守命、命乞いの歌を歌います。しかし和紀郎子、それを無視して、隠れさせていた兵に大山守命への矢による一斉射撃を命じます。

大山守命、たくさんの矢を受けて、水底に沈みます。この遺骸を引き上げた時、和紀郎子が哀悼の念を捧げる歌を歌い、遺骸を丁重に奈良山に葬りました。

さて後継者争い。普通に考えれば皇太子である和紀郎子がそのまま皇位に就きます。

しかし和紀郎子、異母兄の大雀命に皇位を譲ろうとします。固辞する大雀命。皇位を譲り合う二人。そうして、ここで政治的な空白ができ、古事記では海人の説話が挿入されています。

ここで和紀郎子、突然急死してしまいます。そうして、大雀命が即位して、仁徳天皇です。

不可解な早逝は日本書紀では自殺としており、あるいは毒殺説(当然、大雀命の差し金)などもあるようですが、有力な皇子を差し置いて、母が父に愛されていたから突然皇太子になった和紀郎子。父崩御後、一人の皇子は反逆し、これをきっちり制圧、もう一人の皇子とはよく分からない腹の探り合い。応神朝にきらめき、そして颯爽とちった流星、という感じでしょうか。

【関連キャラ】
応神天皇 - 自身の登場シーンがあまり多くない天皇
ヤカワエ - 日本で初めてスタイルを激賞された美女
大山守命 - 徹底的に貶められる仁徳の兄 裏ありソス
仁徳天皇 - 古事記中盤の主役はやはり女好きの御仁
ヤタノ - 女好き仁徳天皇を待ち続ける温厚な姫
メドリ - 仁徳天皇を振った女、反逆して誅される

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【一言切り取り】
和紀郎子「えっ、私ですか?」
和紀郎子「安らかに眠ってください」
和紀郎子「皇位を継いでもらえませんか?」

【収録歌】
和紀郎子、自身で討伐した反逆者・大山守命の死に際して歌った歌

【古事記の神・人辞典】
和紀郎子 - 陵墓情報も

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