出雲大社をめぐる、国譲り、天孫降臨のぶっちゃけ古事記風イメージ図 - 高円宮典子さまと千家国麿さんのご結婚に際し
皇族の高円宮典子さまと、出雲大社祭祀者の家系である千家家の千家国麿さんのご結婚式が2014年10月5日、出雲大社で行われます。改めてお祝い申し上げます。

この歴史的、というよりも、神話的慶事について、改めて古事記を軸にまとめてみます。よく知られている、国譲りと、天孫降臨です。

千家家の祖アメノホヒ

高天原のアマテラスが、オオクニヌシの治めている葦原の中つ国がイイ感じで発展してきているので、長男のアメノオシホミミに降臨させ統治させようと考えました。

しかし当のアメノオシホミミ、葦原の中つ国が騒がしい、という理由で、降臨に消極的。そこでアマテラスはまず、葦原の中つ国の平定を決意します。

八百万の神々で相談した結果、葦原中国平定のために、アマテラスの次男(アメノオシホミミの弟)であるアメノホヒをオオクニヌシのもとに派遣することにしました。

アメノホヒ、実際にオオクニヌシのもとに到着し、恐らくは交渉したのでしょう(その描写は古事記には無い)、しかし逆にオオクニヌシに靡いてしまいました。

つまり、アメノホヒはオオクニヌシに心酔し、未来永劫付き従っていくことに決めたのでしょう。アメノホヒこそが、千家家の祖に当たります。

葦原中国平定、国譲り

アメノホヒが帰って来ないので、高天原では再度アメノワカヒコという神をオオクニヌシのもとに派遣します。しかし、このアメノワカヒコ、オオクニヌシの娘であるシタテルに一目惚れ、オオクニヌシも二人の結婚を認め、アメノワカヒコも高天原に戻りませんでした。

タカミムスヒノカミによる誓約などもあるのですが、中略。アメノワカヒコに次いで、三番目に派遣されたのがタケミカヅチらです。

タケミカヅチがオオクニヌシの長男であるコトシロヌシ、次男であるタケミナカタを屈服させ、オオクニヌシが万事休すとなることで、ようやく葦原中国平定が完了します。つまり、オオクニヌシにとっては国譲り、となります。

出雲大社の原点

しかしオオクニヌシ、国譲りの条件として、壮大な宮殿の造営をタケミカヅチに要求します。この宮殿の構造と構想は、オオクニヌシが黄泉の国で祖先のスサノヲからもらったアドバイスによるものです。

タケミカヅチもこの要求を呑み、実際に宮殿を造営します。これがオオクニヌシが鎮座する、現在の出雲大社の原型になります。

オオクニヌシに心酔したアメノホヒ、その子であるタケヒラドリが出雲国造の祖となり、出雲大社の祭祀者の家系である出雲国造家を形成、現在の千家家へと連なります。

天孫降臨と皇族の系譜

葦原中国平定が完了したので、アマテラスは改めて長男アメノオシホミミに葦原の中つ国への降臨を命じます。

しかしアメノオシホミミ、子どもができたので、この子どもに行かせたいと母アマテラスにお願いします。またまた降臨を断ったことになります。

アマテラスもこの願いを聞き届け、アマテラスの孫(天孫)であり、アメノオシホミミの子であるニニギが降臨します。

天孫降臨です。

ニニギの子が山幸彦、山幸彦の子がウガヤフキアエズ、ウガヤフキアエズの子が初代神武天皇となり、今上陛下まで続く皇室・皇族の家系に連なります。こちらにそれらをまとめています。


アマテラスの子であるアメノオシホミミとアメノホヒという兄弟の数奇な運命、そして出雲大社とオオクニヌシ。これらが今回の慶事でまた一つにまとまります。だからこそ、歴史的ならぬ、神話的慶事と言えるのです。

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