大宜都比売(おおげつひめのかみ=オオゲツヒメ)縦480px
【キャラ設定】古事記初期、島産みに現れる神で、非常に高貴であるにもかかわらず、スサノヲに惨殺されるという悲惨な女神。でもそれが穀物の起源となり、食物神となっていく。惨殺される理由がお茶目?なところもあり、それも念頭に置く。

大宜都比売(おおげつひめのかみ=オオゲツヒメ)縦500px■大宜都比売(おおげつひめのかみ)

イザナギイザナミの順調な国産み島産みが始まってから、淡路島(アハヂノホノサワケノシマ)に次いで、二番目にできた島・イヨノフタナノシマ(つまり、四国)にあったとされる四つの顔の一つで、阿波国、つまり現在の徳島県。

阿波=粟と、後述する穀物的なところがあるとかないとか、という議論もあるが、しかし、徳島県としての性質は、古事記においてはここまで。

しかし、登場自体は極めて早く、アマテラススサノヲよりもずっと早い。二人らとオオゲツヒメは父母が同じなので、二人らにとってはかなり年上の姉、という感じでしょうか。ただ、アマテラスらは三貴子と呼ばれ、別格の血統とされているので、この際あまり年功は関係ありませんが。

何よりもこの女神、スサノヲの段での登場が印象的。

スサノヲが高天原追放のきっかけとなる天岩戸隠れ、その後訪れる出雲でのヤマタノオロチ退治という、日本で最も有名な二つの神話に挟まれる形で存在している、あまり知名度の高いとは言えない説話ですが、極めて興味深い話になっています。

父イザナギに勘当・追放され、姉アマテラスのいる高天原に行ったらそこで大暴れして、高天原を追放されたスサノヲ。その途中、腹が減ったので、近くにいた女神に食事を頼むが、食事を頼まれたのがこのオオゲツヒメ。

オオゲツヒメ、口や鼻、尻から食材を取り出して、美味しく調理。その様子を見ていたスサノヲが、「なんか、バッチイでそう」と言って、有無を言わさず惨殺されました。さすが荒ぶる神、思い立ったら即実行。

しかし、スサノヲがオオゲツヒメを惨殺すると、その死体から、頭から蚕が、二つの目から稲の種が、二つの耳から粟が、鼻からは小豆が、女陰からは麦が、からは豆が生まれ、その身体はすべて植物となります。

これを丁寧に収集したのが、カミムスヒノカミ。造化の三神の一柱、神の中の神です。

そのため、オオゲツヒメは穀物、あるいは食物の神とされ、この説話自体、五穀の起源とされています。

尻から食材を取り出し、死体の女陰から麦が生える、とか、古事記ならでは、というテイスト満載の説話です。

その後、このオオゲツヒメは、ハヤマトノカミという男神と結婚、多くの子に恵まれます。殺されたのに、生きている? というのは、黙っておきましょう、神話なので。

このハヤマトノカミ、実はオオトシノカミの子どもで、オオトシノカミはスサノヲの子ども。つまり、旦那の祖父は、自分を殺した神だった、ということに。

というよりも、一度はスサノヲに惨殺はされるが、結局はスサノヲ一族に融合されていった、ということだとは思いますが。

古事記ではそこまで触れられていませんが、何だかんだとハッピーエンドな形に収まった、ということでしょうか。

【関連キャラ】
スサノヲ - 荒ぶる神からちょいワル親父への転身
カミムスヒノカミ - 国つ神を影から支える神の中の神

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スサノヲ君の冒険:5.追放編 - オオゲツヒメが活躍? というか惨殺される

【一言切り取り】
オオゲツヒメ「うんしょっ、うんしょっ」
オオゲツヒメ「さあっ、召し上がれっ!」
オオゲツヒメ「おっ、おっ、お待ちを!」

【古事記の神・人辞典】
オオゲツヒメ

【関連カテゴリ】
3.アマテラスとスサノヲ

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