山代之猪甘(やましろのぶたかい)

山城の豚飼。

『古事記』に記載のある男性。

第21代雄略天皇に父・イチノベノオシハを惨殺された意祁王(後の第24代仁賢天皇)と袁祁王(後の第23代顕宗天皇)の兄弟が、雄略天皇の魔手から逃れようと逃走中に遭遇した、食事泥棒。

これに襲われた二人の兄弟は、「食事は惜しくはないが、名を名乗れ」と言って、その名前が判明した。

後日、皇位に就いた顕宗天皇によって、飛鳥河の河原で斬首にされ、一族も膝の筋を斬る罰を科せられた。

即位した顕宗天皇が父の惨死をめぐる因果応報を実行していた時の一つのケースとなったが、犯行時には「食事は惜しくない」と言われ赦されていたのに、思わず正直に名を名乗ったのが運の尽き。

膝の筋を斬られた一族、その子孫は、大和(現 奈良県)に来ると、必ず足を引きずる、と言われるようになる。また、その犯人が住んでいた所を探し出したので、名付けて志米須(しめす)と呼ぶようになったという。

【主な登場場面】
いとこの無礼にキレてソッコー殺っちゃった雄略天皇 逃げる二人の御子
因果応報を実行する顕宗天皇 窮地での弁当強奪犯を死刑にし、その一族にも処罰