夜麻登登母母曾毘売命(やまととももそひめのみこと)

『古事記』に記載のある女性皇族。

父は第7代孝霊天皇、母はその妃であるオオヤマトクニアレヒメ

同母弟妹にヒコサシカタワケオオキビツヒコヤマトトトワカヤヒメがいる。

史上における、倭迹迹日百襲姫命(やまとととひももそひめのみこと/やまとととびももそひめのみこと、生没年不詳)。最古級の前方後円墳として知られる箸墓古墳(箸中山古墳とも。奈良県・桜井市)はこの姫の墓「大市墓」に治定されている。全国第11位の大きさの古墳(古墳ランキング)。

日本書紀によれば、第10代崇神天皇の御世、災害が多いため占うと、ヤマトトモモソヒメにオオモノヌシが神懸り、オオモノヌシを敬い祀るよう告げた。古事記では、崇神天皇の夢枕にオオモノヌシが現れる形。

また、三人が同時に同じ夢を見た、という現象が起きた時の一人がヤマトトモモソヒメとされ、その夢ではオオタタネコらにオオモノヌシらを祀らせるよう命じた。古事記では、上記の崇神天皇の夢枕に現れたオオモノヌシがその時にオオタタネコを指名している。

オオビコが越の国に行く途中、不思議な歌を歌う少女に出会って、引き返し、崇神天皇に報告した際、その歌の内容からヤマトトモモソヒメがタケハニヤス(第8代孝元天皇の皇子)の反乱と断じた。古事記では、タケハニヤスの反乱と指摘したのは崇神天皇。

そして、ヤマトトモモソヒメはオオモノヌシの妻になる。夜しかやって来ず、昼は姿を見せない夫の朝の姿を見たいと願い、その通りにすると、ヘビが飛び出してきたので、ヤマトトモモソヒメは驚いたため、恥じたオオモノヌシは三輪山に引き籠ることになる。

後悔したヤマトトモモソヒメは腰を落とした際に箸が陰部を突いたために死亡する。『古事記』において、これと全く同じ話はないが、オオモノヌシとイクタマのラブロマンスが類似している。

女陰を推す『古事記』において、この説話が収録されていないのは不可解。箸が女陰に刺さるのは、天岩戸隠れの発端となる、アマテラス配下の機織り女が、スサノヲの放り投げた皮を剥いだ生きた馬にびっくりして、機織り機の先で女陰を負傷して死亡する話と似ている。

また、『古事記』には類例を見ない、女が嵌る「覗くな」パターンでもある。

【主な登場場面】
実子に後妻寝取られ反逆される故・神武天皇 直系が奮起して乱を平定

【ヤマトトモモソヒメを祀る神社】
田村神社 - 孝霊天皇の子らとサルタヒコ、ニギハヤヒ系を祀る水神系の讃岐国一宮
岡山神社 - 貞観年間の創建、歴代藩主に崇敬された岡山城の守護神、備前岡山の総鎮守
水主神社(東かがわ市) - 倭迹々日百襲姫命の讃岐来訪伝承、最澄・空海・義経ゆかり