豊玉毘売命(とよたまひめのみこと)

『古事記』に記載のある女神。

ワタツミの娘。竜宮城の姫。

竜宮城にやってきた山幸彦を一目惚れ、父・ワタツミにも紹介して認めてもらい、山幸彦の嫁になる。

山幸彦はもともと、兄の海幸彦とのいざこざに悩んで、それを解決しようと竜宮城にやって来ていたが、そんなことも忘れて、山幸彦は三年もの間、トヨタマとの新婚生活を楽しむことになる。

三年後、山幸彦は突然海幸彦とのいざこざを思い出し、大きなため息をつく。それを見ていた妻トヨタマが心配し、父ワタツミに相談。ワタツミは義理の息子である山幸彦から悩みを聞く。

相談に乗ったワタツミは、山幸彦に様々なひみつ道具や秘策を授け、山幸彦を陸に戻す。

ワタツミに言われた通りにしたら、山幸彦、海幸彦を屈服させ、臣従を誓わせる。ヤマト(山幸彦)が隼人(海幸彦)を屈服させる説話になっている。

さて、その後、妊娠したトヨタマが、陸に来て「デキちゃったから、陸で産むわ。でも覗かないでね」と言い、もちろん覗いてしまった山幸彦。そうしたらトヨタマ、ワニの姿でお産の最中。恐くなった山幸彦は逃走。これらの現場とされるのが鵜戸神宮(宮崎県・日南市)。

無事出産したものの、正体を見られた恥ずかしさや怒りから、トヨタマは竜宮城への道を塞ぎつつ、竜宮城に帰って行ってしまう。

それでも山幸彦を忘れられないトヨタマは、山幸彦に愛の歌を送る。山幸彦もその歌に返歌する。愛を確かめ合う二人。

二人の子がウガヤフキアエズ、養育はトヨタマの妹であるタマヨリが担うことに。長じて、ウガヤフキアエズは養母タマヨリと結婚、叔母と甥っ子の結婚で、後の初代神武天皇が生まれる。

神武天皇にとって、お祖父ちゃんは竜宮城へ行き、お祖母ちゃんは竜宮城の姫でワニだった、ということになる。

天皇家の系譜も参照。

【主な登場場面】
浦島太郎の原型 - 海幸彦と山幸彦の物語始まる 隼人にいじめられるヤマト?
竜宮城で結婚! 本来の目的忘れて幸福むさぼる山幸彦と、ちょっとしたトリビア?
竜宮城の王様に与えられたひみつ道具で、兄・海幸彦を屈服させる弟・山幸彦
竜宮城の嫁が陸に上がって出産、その時、夫は? 山幸彦、父になる

【収録歌】
トヨタマ、正体見破られたが、やっぱり山幸彦が愛おしい歌

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産宮神社(糸島市) - 奈留多姫が第2代綏靖天皇を安産、神功皇后以来の「百手の的射」
高忍日賣神社 - 独自の安産・産婆・乳母の祖神を祀る「全国唯一社」、皇室も安産祈願

【トヨタマを祀る神社】
鹿児島神宮 - 八幡発祥の“正八幡”、応神皇后ナカツヒメや呉の太伯も祀られる古社
海神神社 - 対馬市にある複数の式内社の論社、神功皇后ゆかり、のち祭神はトヨタマに
沙田神社 - 神世七代と、天津神系の海神も、諏訪系の御柱祭り 信濃国三宮の古社
若狭姫神社 - 若狭彦神社の下社、御祭神は若狭彦神社の妻で、竜宮城の姫トヨタマ
菅生石部神社 - 加賀国二宮、御祭神は山幸彦・トヨタマ・ウガヤフキアエズの親子

天岩戸神社 - 天岩戸隠れの神話そのままの世界広がる、11月には高千穂の夜神楽も
霧島神宮 - 高千穂峰の南側に鎮座する、天孫降臨・ニニギを主祭神とする古社
鵜戸神宮 - 初代神武天皇の父ウガヤフキアエズ誕生の地、境内にはその陵墓も
與止日女神社 - 水の女神を祀る通称「淀姫さん」、創建1450年以上の肥前国一宮
天手長男神社 - 江戸期に再興された式内社・壱岐国一宮、当時の比定に疑義あり?

加世智神社 - 三重県松阪市、風の神? カザモツワケノオシヲノカミを祀る、漁撈の神
箱崎八幡神社 - 元は式内「月読神社」、合祀や配祀を繰り返す、筥崎宮が勧請元
知立神社 - 三河国二宮、東海道三社の一つ、5月の知立まつり、花しょうぶ祭が有名 
警固神社 - 神功皇后の三韓征伐を勝利に導いた警固大神を祀る、キツネ石像破壊事件も
高千穂神社 - 「高千穂の夜神楽」で有名な高千穂八十八社の総社、日向三代などを祀る

水神神社(長崎市) - 河童伝承、河童を服従させる河童族を統率した栗隈王の末裔が社家
真山神社 - 「男鹿のナマハゲ」の元祖が今は「なまはげ柴灯祭り」に、景行期創建の古社
石園座多久虫玉神社 - 第3代安寧天皇の皇居跡に鎮座する古社、通称「竜王宮」の御祭神は?
春日神社(大分市) - 天平あるいは貞観年間に奈良・春日大社から勧請・創建した古社
三宮神社(吉岡町) - 伊香保温泉、往古は伊香保神の祭祀中心・上野国三宮として繁栄

狭野神社 - 第5代孝昭天皇の時代に、神武天皇生誕の地で創建された、パワースポット
鹿児島神社(垂水市) - 通称は下宮神社、鹿児島神宮の境界示す末社、枚聞神社からの勧請
青島神社 - 山幸彦が竜宮城から戻った地、縁結びのご利益と、南国風の御朱印帳が人気
南宮御旅神社 - 南宮大社の旧社地・元宮で現在は摂社・御旅所、国府があった美濃国総社
関蝉丸神社 - 古くからの要衝である逢坂の関に祀られた音曲芸道の祖神、上社と下社

玉崎神社(いすみ市) - 物部氏が房総に上陸して創建した古社で、上総十二社の一社
大海神社(大阪市) - 山幸彦と海幸彦の龍宮そのものの海の神、住吉大社の境内社・式内社
住吉神社(鴨居瀬) - 鶏知の元宮? リアス式海岸のど真ん中に鎮座する対馬住吉の元祖
住吉神社(鶏知) - 鴨居瀬の住吉を勧請した、対馬の中心地として栄えた地に鎮座する
鹿児島神社(鹿児島市) - 山の手にあるが海神祀る、鹿児島三社で、桜島囲む一社の古社

霧島岑神社 - 霧島六社権現の中心として栄える霧島信仰の核、日向三代とその后神を祀る
和多都美神社 - 対馬、二つの鳥居は海中にそびえ、潮の干満により姿を変える龍宮の社
香春神社 - 古くは宇佐神宮を上回る大社で豊前国一宮とも、香春三山の神を祀る式内三座
古宮八幡神社 - 香春岳の銅で鏡を制作して宇佐に奉納、奈良の大仏鋳造に貢献、杉の葉神輿
神洗神社 - 上総十二社祭の綱田玉前神社は神洗池がある上総国一宮玉前神社の末社で元宮

玉前神社(椎木) - 上総十二社、上総国一宮・玉前神社の眷属で姉・豊玉姫命を祀る
豊玉姫神社(嬉野市) - 日本三大美肌の湯近くに鎮座する“肌の病”に効くナマズ様の社
南宮神社(一宮町) - 白鳳期の勧請、ナイアガラ花火の中の宮入が幻想的な上総十二社
鵜羽神社(睦沢町) - 9月13日の上総十二社祭に先行して御漱祭・十日祭お迎え祭を斎行
鰐河神社 - 全長13メートルにもなる獅子舞が伝来、竜宮城の姫が亀や鰐で上陸した伝承

西野神社 - 札幌市西区の西野・平和・福井の氏神、オススメパワースポットに認定される
揖宿神社 - 浜下りで知られる、天智天皇の行幸を機に創祀された開聞新宮九社大明神
八幡竈門神社 - 仁徳期創建、宇佐から降臨した八幡神を祀る白亀ゆかり、ニータン生誕地
益救神社 - 屋久島に鎮座する式内最南端、益救神太鼓と益々救って下さる神様「救の宮」
天別豊姫神社 - 神辺大明神・甘濃厳大明神とも呼ばれた、備後最古級とされる神社の一つ

豊玉姫神社(香取市) - 編玉郷の総鎮守・総社「大宮大明神」、東総御神幸三社の一つ
水度神社 - 『山城国風土記』に記載される古社、室町期建立の城陽市最古の重文本殿
櫛田神社(射水市) - 武内宿禰が創祀した式内古社、火渡り神事とステンドグラス記念館
春日神社(徳島市) - 徳島城や城下の鎮守、歴代徳島藩主から崇敬され続けた春日大明神
魚沼神社 - 「上弥彦神社」越後一宮に対する二の宮、太太神楽や室町期の阿弥陀堂・神輿

老神神社(人吉市) - 平安初期創建の相良氏代々の産宮、藩主渾身の江戸初期社殿が重文
四山神社 - 古墳に虚空蔵菩薩が降臨、大祭では福銭五円を借りて、次回お礼参りでは倍返し
和布刈神社 - 奈良朝からの和布刈神事が伝わる、関門海峡近くに鎮座、武将・領主の崇敬社
零羊崎神社(石巻市真野) - 古くから蝦夷の豪族が住居した、白鳥宮と呼ばれる名神大社
林神社(明石市) - 赤石に顕現した海神を祀る、羽柴秀吉も観覧、地名由来・雨乞いの社

豊玉姫神社(南九州市) - 水車からくりで知られる、玉のように美しい子宝に恵まれる神徳
鵜坂神社 - 四道将軍大彦命の創祀、女性の尻を打つ神事が伝わっていた縁結び・安産の神
玉井宮東照宮 - 平安期の玉井宮と江戸期の東照宮が明治に合祀、江戸初期の本殿、安産の神
大虫神社(越前市) - 南越地方の平定・開拓、イナゴ退散の神、大正期の石造「眼鏡橋」
日岡神社 - 「加古」の発祥、景行皇后が日本武尊を出産する際に祈願を行った安産の神

初木神社 - 縄文遺跡も多い熱海沖合の初島、伊豆山ゆかりの初木姫、海自「はつしま」
大宮姫神社(佐世保市) - 相浦川流域開拓の成功を祈願、県下最古の江戸前期の本殿
引宮神社 - 井上村藤田の地、地元の人が讃岐国式内社と伝承する、天野神社の境外末社
與賀神社 - 肥前国与賀庄の鎮守、中世・近世の多くの建造物、樹齢数百年の大クスノキ
志登神社 - もとの伊都国の港、海上から参拝された海神の姫の宮、弥生前期の支石墓群

上津天満宮 - 旧正月初子の日に高良大社と「子の日の松」、境内に式内豊比咩神社の論社
豊姫神社(北野町) - 筑後川と巨勢川の合流付近、堤防下に鎮座、天平年間の創建とも
多久頭魂神社 - 境内社含め神功皇后の三韓征伐の伝承が多く残る対馬の古社、天道信仰
鮭神社(嘉麻市) - 奈良時代の創建、12月13日に日本で唯一鮭を神使として祀る献鮭祭
莫越山神社(沓見) - 奈良時代から伝わる神酒醸造神事と、江戸期からの猿田彦の舞神事

和爾賀波神社 - 豊玉比売命が鰐に乗って川を遡上した伝承、中世に10度にわたる遷宮
風治八幡宮 - 神功皇后の帰還の御神徳、5月に福岡県の五大祭りの一つ「川渡り神幸祭」
宇原神社 - 福岡苅田町、三角縁神獣鏡と、9月から10月には室町以来の「かんだ山笠」
健男霜凝日子神社 - 大分・宮崎の県境、祖母山が御神体、神代から奉斎される天候の神
乙和多都美神社 - 神功皇后が奉斎、和多都美神の娘、乙女神2柱を祀る和田津美大明神

走田神社(亀岡市) - 乳の出がよくなる清水、馬が走って田を潤す、人を噛まないマムシ
子安神社(館山市) - 奈良時代の創建、安産の神、一時期は湊神社とも、安房国司祭参加
與杼神社(京都市) - 肥前国與止日女神社を勧請、本殿焼失も拝殿は重文、11月神輿渡御
矢作神社(八尾市) - 物部一族の矢作連の屋敷跡、別宮八幡、クスノキやイチョウの巨樹
大宮八幡宮(三木市) - もとの祝田社、別所氏の崇敬、九柱八幡宮、10月屋台の石段登り

赤日子神社 - 航海守護と養蚕、雨乞いの神、伊勢貢納の三河赤引の糸と関連か
兵主神社(岸和田市) - 岸和田中央公園の西、近郷12ヶ村の総社、雨乞いと古い能面
八幡神社(東九条町) - 石清水八幡宮の元宮ともされる、大安寺・辰市・子安八幡宮
海神社(紀の川市) - 海神を祀る社、浦上大明神、地名に残るほどの往時は多数の神田
大國玉神社(松阪市) - 神宮へ若菜を供する若菜御薗の御厨、式内含む八社を合祀

魚海神社 - 魚が自然と集まって船に飛び込んできて倭姫命が喜ぶ、昭和に復社
元狭山神社 - 大正期に埼玉県入間郡元狭山村の四つの神社を合併、高根囃子など
白羽神社 - 安閑朝に鎮座、白羽官牧の馬の神、今川・武田・徳川からの崇敬
大歳神社(京都市) - 出雲系開拓民が奈良朝に創建、式内・石作神社を相殿に祀る
鹿島玉川神社 - 平安期に常陸を勧請、玉川大明神、江戸初期形式の本殿、鹿の舞

一之宮社(横浜市) - 戦国期に大宮氷川社を勧請、白髯老神、高台からの眺め
大戸神社(川崎市) - 戦国期に信濃国戸隠大明神を勧請、珍しい砲弾抱える狛犬
大御神社 - 日本一のさざれ石群、登り龍とドラゴンボール、ラグビー日本代表
宇奈為神社 - 山間部に海神を祀る、後に熊野権現を勧請、地元では今も十二社神社
速雨神社 - 雨の宮、海神の父か娘か、八太造の地? 社殿を覆う巨大なクスノキ

雨降神社 - 「あまたらし」、式内「和多都美豊玉比売神社」、往古は相当な大社
王子和多津美神社 - 式内「和多都美豊玉比売神社」論社とも、雨降神社の遥拝所とも
入海神社 - 弟橘姫の遺品漂着、10月におまんと、2月と9月に餅投げ、入海貝塚
豊玉姫神社(指宿市) - 「でめじんさー」平安時代に創立、歴代の棟札、11月棒踊り
朝立彦神社 - もと護王権現の式内社「阿佐多知比古神社」、枯れない「お亀の池」

河阿神社 - 人身御供の伝説、水の神、8月14日に佐伯郷灯籠祭、1月に宮の党
池立神社 - 三河知立神社を勧請、もとは松平家の邸内社、昭和に町会に譲渡
知波夜比古神社(高杉町) - 毛利元就が攻め落とした城址、元就自身が再建の本殿
高靇神社(龍神社。福山市) - 式内・国高依彦神社を相殿に祀る、福山藩主の崇敬
木曾三社神社 - 木曾義仲が崇敬した信濃国筑摩郡の式内三社を遺臣が奉斎した社

津神社(壱岐市) - 縁結び・子授かり・安産、皇祖夫婦と初代天皇、4月に牛祭り
天手長比売神社 - 「天の川」伝承、5柱を祀った幡宮・五所姫大明神、合祀後跡地
鹿野田神社 - 和泉式部も療養した不思議な塩の井戸、潮満玉・潮涸玉の潮妙見大神
小浴神社 - 若狭国惣社、国宝級宝物伝来の謎の新八幡宮、若狭彦神社境外末社
常神社 - 書紀記載の逸話、御神島に降臨した神、氣比神宮奥宮の常宮と関連

藤井天満神社 - 4月2日前後の日曜日に12歳までの子供の王の舞、獅子舞も
南方神社(西都市) - 「日向の嵐山」伝統の南方神楽、天然記念物のクスノキ
當島八幡神社 - 平安期に宇佐を勧請、南北朝期に式内・多理比理神社を合祀
大江神社(八頭町) - 平安期から続く大江氏の崇敬、因幡二宮とも、式内三座
椎ケ脇神社 - 天竜川交通の守護神、田村麻呂の創祀、式内・猪家神社、竜宮伝承

荒砂神社 - 式内論社、山中鹿之助が祈願、『Free!』の聖地、美しい海と向島
蛭兒神社(湊宮) - もと四神ヶ嶽の日留居大明神、源実朝の歌と遷座、千石船
須須岐水神社(千曲市) - もとは式内・祝神社、須々岐水神も国史見、7月茅の輪まつり
敏太神社(津市) - 勅使橘諸兄が参向、紀貫之も参拝、宮山城址、「カンコ踊り」
葛神社(奈良市) - 水神としての出雲建雄神を祀る九頭神信仰、室町以来の宮座

彌久賀神社 - 美久我林、近世は若一王子権現御社、10月例大祭の神幸に神事大華
阿須利神社 - 八岐大蛇が「あせった」地とも、風土記所載式内社、10月に秋祭り
多久比礼志神社 - 飛鳥時代に発見された塩水の泉、江戸後期から戦前までは塩出の湯
敷山神社(鯖江市) - 霊光の由緒を引き継ぐおこない、境内に天井絵の漆器神社

【主な御神徳(ご利益)】
良縁縁結び安産子育て家内安全水難除け、農漁業・畜産・海運

【関連キャラ】
トヨタマ - 竜宮城の姫、神武の祖母はワニだった