櫛八玉神(くしやたまのかみ)

『古事記』に記載のある神。

国譲り後のオオクニヌシの隠居場所、つまり現在の出雲大社において、タケミカヅチに指名された料理長。オオクニヌシのために料理をふるまう。

智将コトシロヌシ・武将タケミナカタを折られたオオクニヌシ陣営には為す術もなく、タケミカヅチと高天原に下ることになるが、オオクニヌシ、要求を出して、高天原に現在の出雲大社の原型となる隠居場所としての宮殿を建てさせる。

気を遣ったタケミカヅチがその宮殿の料理長として指名したのがクシヤタマノカミ。クシヤタマノカミは水戸神(みなとのかみ、ハヤアキツヒコノカミハヤアキツヒメノカミの夫婦神の総称)の子。

任命されたクシヤタマノカミはかいがいしく働き、鵜に変身して海に潜り、海底の土を取ってきて、たくさんの土器を作り、料理を盛るお皿とした。また、わかめの茎で臼を作り、昆布の茎で杵を作って、その臼と杵で火を起こして、新築祝い。

その言葉の中で、「私の炊き上げる火は、カミムスヒノカミの御殿高く~」と出てくる。本来はオオクニヌシの御殿のはずであり、オオクニヌシ=カミムスヒノカミ、あるいはオオクニヌシを顕彰するようにして、カミムスヒノカミに仮託している形を取っている。

【主な登場場面】
オオクニヌシ、国譲りして、隠居へ 豪壮な、後の出雲大社を準備させて

【クシヤタマノカミを祀る神社】
売布神社(松江市) - 水戸神を祀る風土記「賣布社」、祓え清め、生命力よみがえりの社
御門主比古神社 - 七尾湾の門神? 旧社地では今も夫婦石まつり、気多の鵜祭に関連