布刀玉命(ふとだまのみこと)

『古事記』に記載のある男神。

忌部氏(後に斎部氏)の祖の一柱とされる。

天岩戸隠れの際、オモイカネが考えたアマテラスを岩戸から出すための策で良いかどうかを占うため、アメノコヤネとともに太占(ふとまに)を行った。

そして、タマノオヤが制作した八尺瓊勾玉や、イシコリドメが制作した八咫鏡などを下げた天の香山の五百箇真賢木(いおつまさかき)を捧げ持ち、アマテラスが天岩戸から顔をのぞかせると、アメノコヤネとともにその前に鏡を差し出した。

天孫降臨の際ニニギに附き従って天降るよう命じられ、アメノコヤネ、イシコリドメ、アメノウズメ、タマノオヤと共に五伴緒の一人として随伴した。

アメノコヤネと共に祭祀を司どる神。また占いの神、神事の神として信仰されている。率いたとされる五柱の神は以下の通り。

・天日鷲命(あめのひわしのみこと):阿波忌部の祖
・手置帆負命(たおきほおいのみこと):讃岐忌部の祖
・彦狭知命(ひこさしりのみこと):紀伊忌部の祖
・櫛明玉命(くしあかるたまのかみ):出雲玉作の祖
・天目一箇(あめのまひとつ):筑紫・伊勢忌部の祖

【主な登場場面】
キレた姉アマテラスが引き籠り ストリップショーで解決 - 天岩戸隠れ
孫かわいさにものすごい陣容を用意したアマテラス「いってらっしゃーい」

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岩戸神楽の起源 - 色彩鮮やかの中でも映える両女神のご尊顔、謎?の神も
天の岩戸 - アメノウズメの踊りとアメノタヂカラオの活躍 謎?の人物も
天窟神楽図 - アメノタヂカラオやフトダマもはっきり描いた天岩戸隠れ絵
岩戸神楽図 - 古事記の記述に忠実に、山水画タッチで天岩戸隠れを描く

【フトダマを祀る神社】
天太玉命神社 - フトダマを祖神とする忌部氏の総氏神、安房神社の名称にも影響
大麻比古神社 - 阿波忌部氏の拠点でフトダマと、サルタヒコを祀る阿波国一宮
豊受大神宮 - 伊勢の神宮のもう一つの正宮・外宮、先祭や外宮から参拝のしきたり
豊受大神社 - 福知山市大江町の元伊勢三社の一社で、伊勢神宮外宮の元宮の伝承
安房神社 - 忌部氏の祖神フトダマを祀る、阿波→安房となった古社、安房国一宮

天津神社 - 景行の御世の創建と伝えられる、天孫降臨に関わる神々を祀る越後国一宮
神戸神社 - 式内社「比地神社」を合祀した、真名井伝承ある元伊勢「穴穂宮」候補地
石見神楽「岩戸」 - フトダマと忌部氏、日本の祭祀に欠かせない大麻を管掌していた
忍山神社 - 三重県亀山市、サルタヒコ祀る元伊勢「奈其波志忍山宮」の伝承地
川内多々奴比神社 - 楯縫氏ゆかり、四道将軍の伝承が残る式内古社、天智朝から祭礼

春日神社(春日市) - 天智天皇による創祀、神事「春日の婿押し」が有名な古社
五社神社・諏訪神社 - ともに徳川秀忠の産土神、将軍家の崇敬厚い子守り、子育ての神
多治神社(日吉町) - 700年の伝統ある御田と、600年の「カッコスリ」を今に伝える古社
神柱宮 - 日本最大の荘園になる地に、平安期に少女の神がかりの神託で伊勢神宮を勧請
総社神社(佐渡市) - 佐渡国総社、鎌倉期に再興され、往時は流鏑馬も、能舞台が現存

槵触神社 - 天孫降臨の候補地の一つ、神話にちなむ周辺史跡、以前の秋祭りでは相撲も
粟井神社 - 6月下旬のあじさい祭で知られる藤目山山麓、岩鍋池の畔に鎮座する名神の古社
八幡竈門神社 - 仁徳期創建、宇佐から降臨した八幡神を祀る白亀ゆかり、ニータン生誕地
山口大神宮 - 大内義興が勅許を得て伊勢神宮を勧請、創建500年の2020年に式年遷宮か
比都佐神社 - 山王七社の十禅師宮を勧請した久野大明神、鎌倉期の石塔と「ほいのぼり」

那波加神社 - 太古に鎮座、延暦寺と深い関係で天台宗の三十番神の一つ、4月に神輿渡御
有鹿神社 - 海老名の総氏神、相模国で国史に叙位が明記される三社の一つ、水引き祭り
鵠沼皇大神宮 - 相模国土甘郷総社「石楯尾神社」に建立された烏森神社、8月祭りに山車
大麻神社(善通寺市) - 忌部の社、古代から連なる宮司家、飛鳥朝奉斎の神像が重文
剱神社(霧島市) - 日本武尊が熊襲の様子を探った剱岩の山頂に奉斎、島津義久が再興

伊曽能神社 - 伊予市、神功皇后が祭祀した霊跡、吹揚大明神と尊称、歴代領主が崇敬
下立松原神社(白浜町) - 安房に逃れた頼朝が宿泊した小鷹明神、式内社を合祀した式内社
宗形神社(米子市) - 国史・式内の古社、歴代武将・領主の崇敬、県下有数の宗像古墳群
中津神社(壱岐市) - 平安初期の鎮座、壱岐氏、中世から中津宮と呼ばれた式内名神論社
鳴神社(和歌山市) - 紀伊忌部氏の氏神、三祭で幣帛に預かった紀伊名神大社四社の一社

美談神社 - 合祀・境内も含め式内5社、中世から近世は八幡宮、風土記記載社
出雲乃伊波比神社(寄居町) - 源頼義が八幡信仰へ、洪水で遷座、八幡塚や宮乃井
伊波比神社 - 「いはひ」の武蔵国式内社、境内社に岩崎神社、岩井八幡などとも
千早神社 - 千早城の鎮守の八幡、楠木正成らを合祀、金剛登山口から徒歩約20分
日置神社(名古屋市) - 桶狭間の前に信長が祈願し、戦勝後に松を植樹した社、式内古社

遠見岬神社 - 忌部氏による房総半島南部の開拓、勝占が勝浦に、9月に神輿渡御
布良崎神社 - 天富命の上陸地、二つの鳥居と富士山が直線上に、青木繁『海の幸』
御酒神社(別所町) - 地名「三木」は「御酒」から? 式内「御坂神社」の論社の一つ
堀川戎神社 - 「キタの堀川」十日戎で知られる欽明朝創祀の古社、境内に地車稲荷
諏訪神社(新宿区) - 平安初期の創祀、源頼義・義家・頼朝も祈願、明治天皇行幸史跡

安房神社(小山市) - 忌部氏が阿波から安房へ、安房からたどり着いた地、小山氏の崇敬
佐備神社 - 忌部氏の流れを汲む佐味氏、10月にだんじり、4月には神楽祭
能理刀神社(芦見) - 神功皇后の行在所、雷大臣命の卜所、板で作った胡籙の儀器
磯部稲村神社 - 光圀も愛でた天然記念物のサクラ、多くの女神で安産の神
白河神社 - 白河の関跡の比定の決め手となった社、義経や政宗などの崇敬

大津神社(泉大津市) - 和泉国府の外港、式内「粟神社」など合祀、10月だんじり
咸古神社 - 紺口県主が祖神を奉斎か、龍泉寺に隣接、その鎮守の牛頭天王
鎌田神明宮 - 豊受大神が船で渡御してきた地、神宮御厨、遠州の大社、虫封じ
諸羽神社 - もとの両羽大明神、琵琶法師の祖神ゆかり、伊勢・平家両物語にも記載
桑津天神社 - 桑の木の多い港と機織り、仁徳天皇妃・髪長媛の病気を快癒した神

洲崎大神 - 頼朝が安房神社を勧請、神輿を海へ担ぎ入れる風習、ちょうちん祭り
天諸羽神社(峰町吉田) - 古くから栄え、弥生遺跡や古墳も、中世は上対馬の中心
天諸羽神社(佐護深山) - 旧深山、永福寺の近くの林「つのかみ大明神」津ノ神社
春日神社(佐護東里) - 春日大明神、「舊號天諸羽神社」本殿なく石を祀る形態
天諸羽神社(上対馬町一重) - 山王権現・一夜浦権現・熊野三王権現など、亀卜所

正八幡宮(三島小島) - もと石神鎮座の式内・八十子神社の論社、王子権現を合祀
関神社(亀山市) - 鈴鹿山麓七郷総社の笛吹大神社、熊野神社、「関の山」夏祭り
石貫神社 - 西都原古墳群の大山祇塚、石貫階段の下の杉木立、鬼の伝承と天井岩
賀茂山口神社 - もとは澤田社、所在不明の式内に比定、上賀茂神社の田畑の守護神
賀羅加波神社 - 干川(からかわ)から転訛? 弘法大師伝承、飛射・開運厄除祈祷

須倍神社 - 都田御厨の地、内宮と外宮、69社合祀、10月例大祭で山車引き回し
乎豆神社 - 引佐郡家、刑部の地、後に伊勢御厨の神明宮、広大な社域あった大社
布杜神社 - 由緒不詳、賣布神社に対する小宮、賣布神社の御旅所とも、元宮とも
日置神社(立山町利田) - 近江高島郡の日置部の裔が祖神を奉斎、常願寺川の沿岸
齋神社(養父市) - 奈良期の創祀、但馬五社に感謝された土木神、お走り祭り

須代神社 - 銅鐸や弥生期の遺跡、鎌倉期の木造新造・狛犬、旧暦1月にみょうが祭
小許曽神社 - 後に神明が勧請された西宮三座・東宮二座の五社神明、粥試の神事
大麻山神社 - 平安前期に阿波勧請の式内、後に五社権現、旧尊勝寺の庭園や礎石
平群石床神社 - もとは本・拝殿なく巨大な陰石が御神体、陽石信仰の船山神社と対
宇美神社(出雲市) - 風土記所載の式内社、縁切りと縁結び、「海」だが剣の神

彌久賀神社 - 美久我林、近世は若一王子権現御社、10月例大祭の神幸に神事大華
宇奈多理坐高御魂神社 - 平城宮跡「東院庭園」北側、室町期本殿が重文も非公開?

【主な御神徳(ご利益)】
木工・建具