道俣神(みちまたのかみ)

『古事記』に記載のある神。

イザナギが禊を行うために衣を脱いだ時、袴から生まれた神。

イザナギは黄泉の国から戻ると、穢れから身を清めるために、竺紫(つくし)の日向(ひむか)の橘の小門(をど)の阿波岐原(あはきはら:現在の宮崎県宮崎市阿波岐原町)で禊を行った。そこで、衣を脱ぐと生まれた十二神の一柱。

岐の神(ふなどのかみ、くなどのかみ)、巷の神(ちまたのかみ)または辻の神(つじのかみ)の一柱であり、疫病・災害などをもたらす悪神・悪霊が聚落に入るのを防ぐとされる神でもある。道祖神、塞の神(さえのかみ)とも呼ばれる。

イザナギの禊において、衣を脱いだ時、杖から生まれた神であるツキタツフナトノカミも岐の神の一柱として、同性質を持っている。

また、八衢比古神(やちまたひこのかみ)、八衢比女神(やちまたひめのかみ)の両神を表す、ともされる。さらにこの両神は、サルタヒコアメノウズメの夫婦神と同神とされる場合がある。

禊で衣を脱いだ時に生まれた神
ツキタツフナトノカミ - 杖から
ミチノナガチハノカミ - 帯から
トキハカシノカミ - 袋から
ワヅラヒノウシノカミ - 衣から
・ミチマタノカミ - 袴から
アキグヒノウシノカミ - 冠から
オキザカルノカミ | オクツナギサビコノカミ | オキツカヒベラノカミ - 左手の腕輪から
ヘザカルノカミ | ヘツナギサビコノカミ | ヘツカヒベラノカミ - 右手の腕輪から

【主な登場場面】
バツイチ・イザナギ、それでも神産み続けてアマテラス、スサノヲ キター!

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