大魚を求める海人がいる。
巨大マグロを突きたいと思っている
海人がいる~
その海人がいる限り、
俺はその海人を恋しいと思う~
巨大マグロは結局突かれるのだ~
志毘臣よ、
結局お前は自分で自分の首を絞めている~

歌い手:顕宗天皇
出 典:女にちょっかい出された皇子がキレる 横柄な家臣を急襲して滅亡させる
章立て:19.清寧天皇

歌垣における、志毘臣(しびのおみ)と、播磨から兄とともに都に帰って来た袁祁王(をけのみこ=弟)の歌の掛け合い、第六首目、最後の歌です。先の志毘臣の歌を受けて、袁祁王がより直接的に、言葉遊びを交えて、志毘臣にプレッシャーをかけています。

1.オマエんち、傾ているぜ - 志毘臣
2.大工がヘマやったためだぜ - 袁祁王
3.オマエの心、緩んでるぜ - 志毘臣
4.あんま調子のんなよっ - 袁祁王
5.オマエなんかもうすぐ滅ぶ - 志毘臣

志毘臣の「しび」は、大型のマグロを指す言葉です。海人がこれを捕えることを掛けて、袁祁王が歌い上げたものです。

自分で自分の首を絞めている、との通り、袁祁王はこの歌垣の後、意祁王(おおけのみこ=兄)と相談して志毘臣を攻め滅ぼし、兄から皇位を譲られ、即位して顕宗天皇となります。

※下記は、現代語譯 古事記 稗田の阿禮、太の安萬侶 武田祐吉訳による現代語訳。上のぶっちゃけ訳とも見比べてください。

大きい魚の鮪を突く海人よ、
その魚が荒れたら心戀しいだろう。
鮪を突く鮪の臣よ。

【関連キャラ】
顕宗天皇 - 父の復讐に燃え、雄略陵破壊を目論む激情家
志毘臣 - ふらっと都に帰った皇子のオンナを奪って挑発

【古事記の傾向と対策】古事記に収録されている歌113首の索引、リンク集

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