大君の心が緩んでいるので、
臣下の者の幾重も囲んだ柴垣の中に、
入り込めないでいる~
臣下の者の幾重も囲んだ柴垣の中に、
入り込めないでいる~
歌い手:志毘臣(しびのおみ)
出 典:女にちょっかい出された皇子がキレる 横柄な家臣を急襲して滅亡させる
章立て:19.清寧天皇
志毘臣が歌垣で、播磨から兄とともに都に帰って来た袁祁王(をけのみこ=弟)を挑発する歌を歌ったことで始まった両者の歌の掛け合い、袁祁王が返した歌に対して、志毘臣がまた投げかける第三首目の歌です。
袁祁王はこの歌垣の後、意祁王(おおけのみこ=兄)と相談して志毘臣を攻め滅ぼし、兄から皇位を譲られ、即位して顕宗天皇となります。
宮殿やその周囲についての歌で攻防が始まっていますが、
1.オマエんち、傾ているぜ - 志毘臣
2.大工がヘマやったためだぜ - 袁祁王
に続く歌です。第一首目より、よりストレートに本人の心に踏み込んで、その心の緩みを指摘しています。
まあ、もともと不敬ではあったのですが、より直接的に叛意を示した歌と言えそうです。
これからこの歌の掛け合い、もっと激烈になっていきます。
※下記は、現代語譯 古事記 稗田の阿禮、太の安萬侶 武田祐吉訳による現代語訳。上のぶっちゃけ訳とも見比べてください。
王子樣の御心がのんびりしていて、
臣下の幾重にも圍つた柴垣に
入り立たずにおられます。
臣下の幾重にも圍つた柴垣に
入り立たずにおられます。
【関連キャラ】
・志毘臣 - ふらっと都に帰った皇子のオンナを奪って挑発
・顕宗天皇 - 父の復讐に燃え、雄略陵破壊を目論む激情家
・【古事記の傾向と対策】古事記に収録されている歌113首の索引、リンク集
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