袴を結ぶ紐につけた小さな鈴が落ちたと言って、
都の人は大騒ぎしているが、
田舎者は騒いではいけません~
都の人は大騒ぎしているが、
田舎者は騒いではいけません~
歌い手:大前小前宿禰大臣(おおまえこまえのすくねのおおおみ)
出 典:同母兄妹、禁断の情事 皇位を追われ、伊予に流されて心中する兄妹ふたり
章立て:16.允恭天皇
允恭天皇の皇太子・木梨之軽王(きなしのかるのみこ=カルミコ)が、同母妹の軽大郎女(かるのおおいらつめ=カルノ)と同母兄妹間の禁断の情事に耽り、人心を失うと、反皇太子派の穴穂御子(あなほのみこ)が反旗を翻します。
カルミコは大前小前宿禰大臣(おおまえこまえのすくねのおおおみ)の家に逃げ入っていきましたが、穴穂御子もすかさずその邸を包囲、大前小前を恫喝する歌を歌います。
それに対する大前小前の返答の歌がこれです。
そんなに慌てなさんな、落ち着いてください、というようなニュアンスでしょうか。宮廷を牛耳った穴穂御子の包囲軍が本気で攻めてきたら邸は支えきれない、と観念したようにも受け取れます。
「天皇になられようというお方が、同母兄(カルミコは穴穂御子の同母兄)と戦しようなどとは考えますな。もし戦になったら、人の笑いものになりましょう。私にお任せください」と言って、包囲軍を退かせます。
邸に戻ったら、大前小前はカルミコを捕まえ、穴穂御子に差し出します。元皇太子、形無し。それほど禁断のタブーを破ったことが人心に響いたということでしょうか。。
なお、この歌、古事記においては宮人振(みやびとぶり)と呼んでいます。おそらくは、夷振(ひなぶり)と対照的な意味合いで、都会の歌、という感じでしょうか。
【一言切り取り】
・カルミコ「変わり身、はやっ」
※下記は、現代語譯 古事記 稗田の阿禮、太の安萬侶 武田祐吉訳による現代語訳。上のぶっちゃけ訳とも見比べてください。
宮人の足に附けた小鈴が
落ちてしまつたと騷いでおります。
里人もそんなに騷がないでください。
落ちてしまつたと騷いでおります。
里人もそんなに騷がないでください。
・【古事記の傾向と対策】古事記に収録されている歌113首の索引、リンク集
【関連キャラ】
・カルミコ - 禁断の近親相姦に走る日本最古の歌人
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