あの相模國の人里離れた野原で、
火に囲まれ、ぼうぼうと燃える炎の中で、
私の名を呼んでくださったあなたですもの
(あなたのためなら火の中、海の中~)

歌い手:弟橘比売命(おとたちばなひめのみこと=オトタチバナ)
出 典:ヤマトタケル、妻の一人を泣く泣く犠牲に「ああ、わが妻よ」⇒あずま=関東
章立て:11.ヤマトタケル

弟橘比売命(おとたちばなひめのみこと=オトタチバナ)縦480px何だかんだで東国遠征に出かけた倭建命(やまとたけるのみこと=ヤマトタケル)。途中、伊勢では叔母・倭比売命(やまとひめのみこと=ヤマトヒメ)から草薙の剣とフシギ袋をもらい、尾張では結婚を約束する新たな妻・美夜受比売(みやずひめ=ミヤズ)をゲット(初夜は遠征から帰還後にお預け)。

相模では敵の罠にかかり、窮地に陥るも、叔母からもらったべんり道具で危機回避。さらに東に進もうとした際、どうしても渡れない海にぶち当たります。

この時、わが身を犠牲にして、入水して道を切り開いたのがヤマトタケルの妻の一人オトタチバナ。相模での火責めの受難を共にした愛妻の一人を、ヤマトタケルは泣く泣く犠牲にすることになりますが、オトタチバナの献身で、無事渡海に成功しました。

そのオトタチバナの辞世の歌です。

ヤマトタケルからもらった愛がよほどうれしかったのでしょう。喜んでヤマトタケルのために入水し、死ねる妻。妻の鑑、賢妻です。

【一言切り取り】
オトタチバナ「愛してくれて、ありがと」

※下記は、現代語譯 古事記 稗田の阿禮、太の安萬侶 武田祐吉訳による現代語訳。上のぶっちゃけ訳とも見比べてください。

高い山の立つ相摸の國の野原で、
燃え立つ火の、その火の中に立つて
わたくしをお尋ねになつたわが君。

【古事記の傾向と対策】古事記に収録されている歌113首の索引、リンク集

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