畝傍山には、昼には雲がいっぱい漂っているけど、
夕方になると、強い風が吹こうとしているようよ。
木の葉がざわざわと音を立てているよ。
(ヤバいよヤバいよ)

歌い手:比売多多良伊須須気余理比売(ひめたたらいすけよりひめ=イスケヨリ)
出 典:実子に後妻寝取られ反逆される故・神武天皇 直系が奮起して乱を平定
章立て:8.神武天皇

比売多多良伊須須気余理比売(ひめたたらいすけよりひめ=イスケヨリ)縦480px神武天皇の死後、神武皇后のイスケヨリは義理の子どもに当たる多芸志美美命(たぎしみみのみこと=タギシミミ)と再婚させられます。タギシミミは神武天皇が東遷前の日向で娶った女との子どもです。

しかし、タギシミミは神武とイスケヨリの間の子たちを殺そうとします。その企てを知ったイスケヨリが、自分の子どもたちに対して、危険を知らすために歌った二首のうちの二首目。

最初の歌と同様、山、雲、風、木の葉という要素は同様ですが、これを実子たちに向けて危険を知らしめるための歌と思って読んだ場合、一首目と比べて、二首目の方がより緊迫感が高まるような印象を受けます。

時間経過とともに、危険が間近に迫っていることを、一首目より、より緊迫感持たせて子どもたちに伝えたかったのかもしれません。母として、わが子らを守りたい必死さが伝わってきます。

この二つの歌で、危険を知ったイスケヨリの子どもたちは先手を打って、タギシミミを討ち取り、実際に手を下した子が第二代・綏靖天皇となります。

【一言切り取り】
タギシミミ「邪魔だな、あいつら…殺っちゃおうか」
イスケヨリ「息子たちよ、ピンチだよっ」

綏靖天皇「えっ、マジで? じゃあ殺っちゃおう」
カムヤイミミ「えっ、先に殺っちゃうって……」

※下記は、現代語譯 古事記 稗田の阿禮、太の安萬侶 武田祐吉訳による現代語訳。上のぶっちゃけ訳とも見比べてください。

畝傍山は晝は雲が動き、
夕暮になれば風が吹き出そうとして
樹の葉が騷いでいる。

【古事記の傾向と対策】古事記に収録されている歌113首の索引、リンク集

【関連キャラ】
イスケヨリ - 神武皇后、スカトロ的出生譚の美女
綏靖天皇 - 母を強奪した仇を躊躇なく殺っちゃう天皇
カムヤイミミ - 心優しき神武天皇の皇子、古事記の祖
タギシミミ - 神武皇后を略奪愛、史上初めての反逆

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