履中天皇15.履中天皇
15-1.墨江中王の反逆


仁徳天皇の後、その子である履中天皇が即位しました。履中天皇が難波の宮の大嘗祭でお酒を飲みすぎ、いい気持ちで寝ていたところ、弟の墨江中王(すみのえのなかつのきみ=スミノエノナカツ)に御殿に火をつけられ殺されそうになりました。

爆睡している履中天皇を連れだした臣下アチが逃げ出します。大和に逃げる途中で目を覚ました履中天皇は事情を聞かされ、歌います。

ついつい寝入っちまったが~
寝ると分かっていたなら、
屏風を持ってきたものを~
寝ると分かっていたなら~

さらに逃げ、山から難波の宮を遠望したところ、まだ御殿は燃えていました。その時、履中天皇が歌った歌。

山の上に立って見てみれば~
盛んに燃える家々は~
妻の家のあたりじゃね?

さらに逃げた時、一人の女が来て曰く「武器を持った人が大勢待ち構えています。迂回して、越えていった方がよいでしょう」。それを聞いて、履中天皇が歌った歌。

大阪で出会った女の子~
道を問えば真っ直ぐはやめときな、と。
迂回しな、とっ。

歌だけ見ていると「呑気だね」という感じですが、実際は、それはそれは大変だったことでしょう。歌からも若干伝わってはきますが、緊迫の逃避行だったはずです。

しかし、妙に緊張感がないのは、登場して、酔っぱらった挙句、すぐ放火され、焼け殺されそうになる、という展開からでしょうか。

次、えげつない逆襲が待っています。

※画像は、「履中天皇」Google画像検索結果のキャプチャー

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履中天皇
スミノエノナカツ
アチ

カツラギソツヒコ
葦田宿禰
クロヒメ
イチノベノオシハ
ミマ
イイトヨノイラツメ

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