速総別王と女鳥王14.仁徳天皇
14-5.速総別王と女鳥王


また、仁徳天皇は弟の速総別王(はやぶさわけのみこ=ハヤブサ)を仲介として、異母妹の女鳥王(めどりのみこ=メドリ)を側に仕えさせようとしました。

女鳥王(めどりのみこ=メドリ)縦480pxハヤブサ「天皇がお前を所望だとさ」
メドリ「いやよっ。あそこの皇后、チョー怖いし。あたいの姉の八田若郎女(やたのわきいらつめ)でさえ十分に可愛がってもらっていないじゃない。だから、あたい、あんたの女になるき」

こうして二人はチョメチョメしました(=結婚)。ハヤブサはこのことを仁徳天皇に報告しませんでした。

ある時、メドリが機織りの前でせっせと着物を織っている時、それを見た仁徳天皇が歌った歌。

オレっちの愛しい女鳥王が織っている着物は、
いったい誰を思ってのこと~

メドリは少し「イラッ」として歌います。

高い空を飛んでいく、
ハヤブサがお召しになるお着物で~す
(オマエなんかムシムシ)

失恋してしまった仁徳天皇、ショック!

ハヤブサがメドリのところに通っていた時、メドリが歌った歌。

ひばりは天を飛んでいく~
それよりも高い天を飛んでいく、
はやぶさという名を持った御子よ~
どうか、さざき(=仁徳天皇)を殺っちゃって~

この歌を聞いた仁徳天皇は二人の謀反を知って、軍を起こして、二人を討伐しようとしました。そこで二人は一緒に逃げ、倉椅山(くらはしやま)に登りました。そこでハヤブサが歌います。

倉椅山をわれら二人は登るが~
山が険しくて、あなたは岩をつかみ損ね、
私の手を取ったね~

またハヤブサが歌います。

倉椅山は険しいけれど~
あなたと二人で登れば、険しさも忘れる~

速総別王(はやぶさわけのみこ=ハヤブサ)縦480pxさらに二人は逃げますが、宇陀あたりで捕まると、二人は殺されました。

討伐軍の将軍、山部大楯連(やまべのおおたてのむらじ)は、メドリが手に巻いていた玉を連ねた腕飾りを奪い取って、それを自分の妻に与えました。

その後、新嘗祭の宴が設けられた時、豪族の女たちもみな宮廷にやってきましたが、山部大楯連の妻は夫からもらった、メドリの腕飾りをして出席。

それを見た仁徳天皇の皇后・石之日売命(いわのひめのみこと=イワノ)は、山部大楯連の妻には柏の葉の盃を賜らず、その席から退けました。すぐに山部大楯連を呼び出して曰く。

イワノ「お前の妻は無礼があって退けた。お前がメドリの腕飾りを、まだその肌も温かい死体から剥ぎ取って、自分の妻に与えたことだ!」

として、山部大楯連を死刑にしました。皇后、間違っていないけど、やっぱコエー。嫉妬だけでなかった。。

※画像は、「速総別王と女鳥王」Google画像検索結果のキャプチャー

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メドリ - 仁徳天皇を振った女、反逆して誅される
ハヤブサ - 天皇が見初めた姫とデキて反逆する皇子
仁徳天皇 - 古事記中盤の主役はやはり女好きの御仁
ヤタノ - 女好き仁徳天皇を待ち続ける温厚な姫
イワノ -  古代日本最強の姫は、史上初のツンデレ?

【古事記の神・人辞典】
仁徳天皇
イワノヒメ
ヤタノ

メドリ
ハヤブサ
山部大楯連

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